ヒトを含む多くの動物において、他個体とのかかわりである社会行動は非常に重要な意味を持っている。親子や仲間との親和的行動や、求愛そして性行動、またライバルとの攻撃行動など、社会行動は動物の生活に欠くことができない適応的行動である。その一方で、社会行動には非常に大きな個体差が存在しており、社会的親和性が高い個体もいれば、低い個体もいる。このような、社会性の個体差にかかわる生物学的基盤を理解することは、社会性の障害である自閉症スペクトラム症の理解につながるだけでなく、ネグレクトやいじめ、虐待など多くの社会問題の解決に向けたメカニズムの提案にもつながる可能性を持つ。
本研究会での目的は、社会行動の様々な側面における生物学的基盤の研究を行う研究者が集い情報交換を行うことで、社会行動の個体差にかかわるメカニズムを包括的な理解を深めることである。(発表言語:日本語)(研究会は予定通り終了しました)
ポスター発表
初日の口頭発表後にポスター発表を行います。若手の方、学生の方でポスター発表ご希望の方はご連絡ください。ポスターはA0程度で作成してください。
守秘義務
この研究会では、未発表データについてもご紹介頂き深く議論したいと思っております。そのため、参加者は守秘義務を負うことにご承諾いただきます。ご了解のほどよろしくお願いします。また、講演中の撮影、録音、また講演で得られた情報のSNS等による発信などはすべて禁止させていただきます。活発なご議論になることを楽しみにしています。
旅費支援(締め切りました)
人数はそれほど多くありませんが、学生さんや若手の方でポスター発表をすることを条件に旅費支援も可能です。旅費支援は予算がなくなり次第締め切らせていただきます。旅費支援をする方は、所内のゲストハウスに宿泊していただきます。ポスター発表申し込みの際に旅費支援のご希望をお知らせください。
情報交換会
ポスター発表後に、情報交換会(有料)を行います。活発な情報交換のためにぜひご参加ください
参加申し込み(締め切りました)
参加申し込みはこちらのサイトからお願いします。締め切りは12月15日とします。
プログラム
12月26日(火)一日目
13:00 開会の挨拶・研究会の趣旨について
13:10 近藤 保彦(帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科)
「異性を惹きつける化学信号と惹きつけられる神経内分泌基盤 」
13:40 坂本 浩隆(岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(理・生物))
「交尾経験に依存してオスの性行動を調節する神経回路系」
14:10 天野 大樹(北海道大学 大学院薬学研究院 薬理学研究室)
「マウスにおける社会的ヒエラルキーの雌雄差」
14:40 休憩
14:55 北岡 志保(兵庫医科大学 医学部 薬理学講座)
「慢性社会ストレスによる情動変容における微小炎症の役割」
15:25 内田 周作(京都大学 大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター;名古屋市立大学 大学院医学研究科統合解剖学講座)
「内側前頭前野を起点とした異なる神経回路が心理社会的ストレスによる行動変容パターンを決定する」
15:55 高柳 友紀(自治医科大学 医学部 生理学講座 神経脳生理学部門)
「オキシトシンによる社会性の制御」
16:25 休憩
16:40 中澤 敬信(東京農業大学 生命科学部バイオサイエンス学科)
「iPS細胞技術及び疾患モデルマウスを用いた発達障害に関わる分子病態研究」
17:10 石井 健一(東京大学 大学院理学系研究科)
「Fight or Flight? …Fight!” --A neurogenetic mechanism of experience-dependent aggression control in Drosophila」
17:40 岡本 仁(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
「社会的意思決定における内受容感覚と外受容感覚の統合における手綱-脚間核経路の役割」
18:10 休憩
18:20 ~19:20 ポスターセッション
19:30 ~ 情報交換会
12月27日(水)二日目
9:15 豊島 理公(筑波大学 人間系)
「他個体の悪心に対するラットの共感的行動」
9:45 黄 子彦(東京大学 大学院医学系研究科・東京大学 定量生命科学研究所)
「観察恐怖時の腹内側前頭前野の機能と自他の神経表象」
10:15 横井 佐織(北海道大学大学院 薬学研究院)
「メダカにおける大胆さの個性を規定する遺伝子探索」
10:45 休憩
11:00 吉田 さちね(東邦大学 医学部)
「親との触れ合いで起こる子どもの生理変化と愛着形成への関与」
11:30 菊水 健史(麻布大学 獣医学部 動物応用科学科 介在動物学研究室)
「犬種多様性を生み出す文化進化」
12:00 小出 剛(国立遺伝学研究所 マウス開発研究室)
「家畜化に関わる能動的従順性と社会性の共同機構」
12:30 閉会の挨拶
ポスター発表
P-1 Bhim B. Biswa(遺伝研)Changes in the gut microbiome associated with domestication of mice
P-2 Abdullah Syafiq Edyanto(遺伝研)Effect of oxytocin receptor on tameness behavior
P-3 三井 鴻志郎(筑波大学大学院ニューロサイエンス)Exploring the role of the lateral hypothalamus-dorsal raphe nucleus pathway in regulating inter-male aggression in mice
P-4 永井 智也(筑波大学大学院ニューロサイエンス)The smell of dominant mice inhibits olfactory instigation-heightened aggression in subordinate mice
P-5 田川 菜月(東邦大学院医学研究科)マウス外側視索前野と巣作り行動との関係
P-6 後藤 達彦(帯広畜産大学)ニワトリの従順性行動と社会行動の関係
P-7 立原 怜奈(筑波大学大学院ニューロサイエンス)統合失調症モデルラットにおける共感性の評価
P-8 春日 遥(北海道大学大学院情報科学院)ヒト型コミュニケーションロボットの指差しを、イヌは二者択一課題で参照するか?実験設定の試みと質的結果の報告
P-9 松浦 希美(帝京科学大学アニマルサイエンス学科)マウスの撫で刺激による条件性場所選好の形成とオキシトシン受容体の関与
P-10 松本 藍(麻布大学)気候やヒト社会の特性がイヌの気質に及ぼす影響
P-11 橋澤(吉野) 寿紀(同志社大学 生命医科学研究科)アブラコウモリにおけるディストレスコールの発声パターンと心拍変動の個体間の差
P-12 吉崎 嘉一(神戸大学大学院医学研究科未来医学講座バイオリソース・ヘルスケア統合解析科学分野)社会的促進による自閉スペクトラム症の病態解明のための試み
P-13 山田 洋平(東京農工大学農学府)マルチオミクス解析によるニワトリの攻撃性を導く分子基盤の探索
P-14 井本 美冬(麻布大学 介在動物学研究室)食文化を介したイヌとヒトの平行進化
P-15 若槻 萌映(慶應義塾大学文学部心理学科)Activity change of autonomic nervous system accompanied with the formation of male-male affiliative relationships in large-billed crows.
P-16 蓮沼 寛介(筑波大学大学院人間総合科学学術院ニューロサイエンス学位プログラム)Estrogen receptor β in the lateral septum modulates social anxiety-like behavior in male mice
P-17 西堀 諒(同志社大学)幼少期の発声とオキシトシンの関係:育児放棄モデルを用いた研究
P-18 武縄 聡(筑波大学行動神経内分泌研究室)Estrogen receptor beta positive neurons in the medial amygdala regulates male preference towards receptive females.
P-19 東浦 裕紀(東京農工大学)産卵鶏の致死的暴力性に関わる遺伝基盤の探索
P-20 中村 月香(国立精神・神経医療研究センター/東京農工大学)小型霊長類モデル動物から読み解く自閉スペクトラム症の特性と個体差研究