2022年3月17日(木)14時~16時にオンラインで開催された最終研究発表会(最終講義)の様子を動画でご覧いただけます。
コメントや質問は下記のフォームからお願いします。
URL:https://forms.gle/2RJsb68GAryvUcyt6
【発表要旨】
「強欲は善だ」という言葉は、1987年のアメリカ映画『ウォール街』の中で投資家のゴードン・ゲッコーが語った言葉で、1980年代以降のアメリカ経済を象徴するような言葉である。1980年代は、アメリカではレーガンが、イギリスではサッチャーが自由化政策を推進し、経済の立て直しを図ったが、それは同時に格差拡大と社会の分断というコストを伴うことになった。当時、優勢になっていった経済学が「強欲は善だ」とする思想を理論的に支えていた。イギリスの著名な経済学者ポール・コリアーとジョン・ケイはその著作『Greed is Dead』(強欲は死んだ)の中で、そのような経済学を批判した。この本は池本教授らによって日本語訳が出版される予定である。
そのような経済学はバブル崩壊後の日本にも導入され、社会を分断していった。メリトクラシーは成果主義や能力主義という形で導入された。高い評価を得るために頑張るだけ頑張らせておきながら、その実態は切り捨てたい人たちを切り捨てるための口実として利用された。他方、自分たちの評価は甘くしたため、まるで自分たちは世界のトップクラスの企業であると勘違いするようになり、努力を怠り、いつの間にか世界から取り残され、組織内では上からの評価ばかり気にする「忖度社会」ができあがっていった。
「Greed」(強欲)という定義に照らせば、強欲は悪とは言えない。それが悪となるのは、人の努力を正当に評価することも、その努力に感謝の気持ちを表すこともなく、人を騙し、苦しめることを平気でやってのけてしまうからである。ゴードン・ゲッコーはまさにそんな人物だった。
サンプルです。
Youtube にアップロードされるまで、しばらくお待ちください。