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11月12日(金)

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1 まちづくり制度 

歴史的な町並みの保存に向けた制度の在り方 -制度の課題と展望-

 わが国には、歴史的な町並みが良好に保存される伝統的建造物群保存地区(伝建地区)などいくつもの制度があります。しかし、いまだに伝建地区に指定できない地区や、伝建地区周辺部(バッファーゾーン)の歴史的建築物の保存が困難な地区があります。

 一方、全国町並み保存連盟ではHUL(Historic Urban Landscape)の考え方を学び、HULをてがかりに町並みや建物の保存について考えられないか、議論を重ねてきました。

 そこで、町並み保存に向けた制度の活用事例から課題を共有し制度の在り方を模索するとともに、市民意識の醸成に向けた課題を明らかにしたいと思います。

■コーディネーター 鈴木伸治さん 横浜市立大学教授

■パネラー 中村泰典さん  NPO法人倉敷町家トラスト代表理事

      小島富佐江さん NPO法人京町家再生研究会理事長

      佐々木伸夫さん 奈良市役所都市計画課課長補佐



2 建築物

伝統的民家の継承の考え方 ー暮らしの変化に合わせた取り組みの模索

 奈良町では、伝統的民家である町家の空間を活かしつつ、利便性や快適性を確保した空間に改築して、町家を保存、継承しているものがあります。

 伝統的民家の継承には、伝統的民家の特徴の理解、建築技術の継承、所有者への働きかけ、資金の確保など、地域住民や建築家、行政マン、市民などたくさんの方々の努力があります。

 全国的に大工・左官等職人が減少し、地震や風水害の影響を受け保存修理事業に係る材料費や人件費の高騰が続いており、消費税率引上げと共に、所有者の負担増大に直結していて、修理を諦める深刻な事例も出ています。

 そこで、改修事例を通じて、伝統的民家や町並みの保存、継承の取り組み方やその課題を明らかにし、「何を」保存、継承することなのか、模索していきたいと思います。

■コーディネーター 浅野聡さん 三重大学教授

■パネラー 北島力さん  NPO法人まちづくりネット八女理事長

      大槻洋二さん 萩市役所観光政策部次長兼萩博物館長

      藤岡龍介さん 藤岡建築研究室


3 生活文化

生活文化を継承する手法と課題 -「なにを」残すのか

 奈良町では町家で営まれてきた「生活文化」に着目し、暮らしや生業、伝統行事に用いられた道具・器具などを掘起し、整理、記録しています(モノ語り調査)。

 各地で「生活文化」の発掘、「モノ・コト」の継承の取組みが進められていると聞いています。

 一方、こうした活動に対しての制度的な支援策は現状では見当たらず、ボランティア的な活動にとどまっています。

 そこで、生活文化の継承に関する取組みを紹介するとともに、活動継続にあたっての課題、市民への意識醸成を探りたいと思います。

■コーディネーター 清水重敦さん 京都工芸繊維大学教授

■パネラー 大倉宏さん  新潟まち遺産の会会長

      神野武美さん (公社)奈良まちづくりセンター理事

      山下 亨さん 針江・霜降り水辺景観まちづくり協議会

             会長(滋賀県)

4 活動の持続

まちづくりの採算性、収益性ー古民家活用やまちづくりにおけるビジネス手法のとらえ方

  町並み保存や地域の特性を活かしたまちづくりでは「補助金活用」、「ボランティア」的な取組みが多いようです。しかしボランティア活動ではお金のかかる古民家不動産の取り扱いや活用事業の経営は非常に難しいのが現状です。

 他方、多様な収益事業を取り入れ採算の取れるビジネスとして古民家のホテル、カフェ、物販店などを事業経営し、町の魅力を向上させる新たな動きがあります。

 しかし私たちの町並みは世代を超えて継承すべきものであり、「ビジネスとして古民家活用を始めたものの採算が取れないので廃業」つまり「金の切れ目が縁の切れ目」というのは好ましくないでしょう。

 そこで、町並み保存や地域の活性化に向け、地域に相応しい新たな「ビジネス=収益事業」を手法として取り入れるにあたっての効果や問題点を明らかにし、今後の町並み保存の進め方について意見交換したいと思います。

■コーディネーター 阿部大輔さん 龍谷大学教授

■パネラー 斎藤行雄さん  (一社)臼杵のんき屋副理事長

      松井敬代さん  豊岡まちなみ連盟(城崎)

      小田切俊彦さん ㈱つぎと代表取締役

      藤岡俊平さん  紀寺の家

5 担い手

まちの良さの伝え方-ニューヒーローの思い-

 奈良町では、伝統的な建造物や文化が残る町並みに魅かれ、新たに町家に住むなど活用を始めた方がいます。また、改めて地域を見直す取組みを展開する若い世代がいます。

 多様なまちづくりへの関わり方や方法、地域への視点を持ち、また、ライフスタイルを大切にしつつ地域のストックを活かした活性化に取組まれているように思います。

 そこで、新たな視点で町並み保存やまちづくりを担っている若い方等を全国からパネラーに迎え、自らのライフスタイルや地域での活動のきっかけ、将来の展望、課題を語りあい、これからの町並み保存やまちづくりの在り方を探りたいと思います。

■コーディネーター 麻生美希さん 同志社女子大学准教授

■パネラー 荒牧澄多さん NPO法人 川越蔵の会

      尾崎達也さん 白川郷荻町集落の自然環境を守る会事務局長

      迫 一成さん ヒッコリースリートラベラーズ代表

      畑本康介さん NPO法人ひとまちあーと代表理事

      高松明弘さん 奈良町座事務局