宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光の向きが伝播中に回転する現象について研究しています。これは宇宙のパリティ対称性を破る現象で、既存の物理学では説明が難しく、我々の知らない物理学が潜んでいる可能性があります。アクシオンという未知の素粒子がその候補として注目されていますが、これは宇宙複屈折の起源だけでなく暗黒物質や暗黒エネルギーの候補ともなる素粒子です。宇宙複屈折の研究を通して、これらの謎にも同時に取り組んでいます。最近では、CMB だけでなく電波銀河などの天体光源を用いた宇宙複屈折の独立検証にも力を入れて研究しています。
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電波銀河による宇宙複屈折の独立検証法 (講演スライド, 日本語 & 英語)
我々の住む天の川銀河のお隣の銀河である、アンドロメダ銀河(M31)までの距離を正確に測定する研究を行っています。遠くの天体までの距離の測定は一般的に非常に難しい問題です。食連星法という手法とハワイにある日本のすばる望遠鏡を用いて、アンドロメダ銀河の距離決定に挑んでいます。この銀河までの距離は、より遠くの天体までの距離、さらには宇宙論の基本的な量であるハッブル定数を正確に測定するための基準となる、非常に重要な値です。また、この研究のために取得する膨大な観測データを応用し、近傍銀河の様々な謎に同時に取り組むことも目標としています。
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すばる HSC によるアンドロメダ銀河の絶対距離測定計画 (講演スライド, 日本語 & 英語)
東京大学木曽観測所の Tomo-e Gozen (トモエゴゼン) や京都大学岡山天文台の TriCCS を用い、躍動する夜空の姿を見つめる研究をしています。これらの観測装置は従来から使われてきたCCDとは異なる、CMOSと呼ばれるセンサーです。CMOSは絶え間なく天体からの光を記録できるため、これまでは難しかった「動画」での観測が可能です。この特性を活かし、短い時間スケール(秒〜分) で変動する天体現象の解明に挑戦しています。
画像クレジット : 東京大学木曽観測所
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トモエゴゼン北天動画モニタサーベイ計画 (講演スライド, 日本語)