本研究室では、学振PDおよび博士前期(修士過程)・博士後期過程(博士過程)の学生を募集しています(石川キャンパス;リンク)。また、社会人として所属しながら、東京の品川キャンパスにて開講される社会人コースにて修士号・博士号(共に学位:知識科学)の取得を目指すことができます(リンク)。(※情報科学の学位は取得できません。取得可能にする予定もありません)
For those who prefer to obtain a degree in English: (日本語が母国語の方は飛ばしてください;日本語が母国語ではない方で日本語で研究を行いたい方はN1レベルを推奨します。)
Applicants who have not obtained a degree taught in English are strongly recommended to have an IELTS 6.5, TOEFL iBT 90 or higher.
Alternatively, for non-Japanese speakers, a JLPT N1 certification in Japanese is also recognised. Speaking and writing skill is highly evaluated.
Exceptional skills in statistics, data science, psychology, or related fields may make an IELTS 6.0, TOEFL iBT 79, or JLPT N2 sufficient to advance lab research.
At our lab, research is conducted through ongoing discussions and close collaboration. Based on past experiences where language barriers made it difficult for some students to fully engage in research activities, we have established a recommended language proficiency standard. If you did not meet the criteria, you would be unlikely to join our lab,
研究の方法:
所属は「先端科学技術研究科」です。そのため、学生の方が研究を行う場合は実験・データ分析・計算機シミュレーションといった科学的・定量的なアプローチが中心となります(学振PDの方は、民俗学・宗教史・科学社会学など非定量的な分野も募集しています)。研究推進には、プログラミングや統計、実験計画法に関する知識・実践が必要になります。これらを初めて行う方で、挑戦したい方は歓迎します(すでに、習得している方も、もちろん歓迎します)。
私は、人文科学出身(比較文化, 宗教学, 文学)であり計算・データ解析・プログラミングとは無縁でした。大学院を志望した学部4年生からプログラミングやデータ分析について勉強(主に自習)をはじめました。そのため、実験やデータ分析を行わない人文社会科学領域の方でも、入学したから学ぶことができると考えています(進学前に準備できるなら、準備していただきたいこともあるので、希望する時点で事前に相談いただけると助かります。早ければ早いほど助かるのですが、それぞれのタイミングもあるので遅くても問題だというわけではありません。
とにかく何か始たい方は統計ソフト/言語であるR(外部リンク)を試してみると良いかもしれません。これが使えれば大抵のことができるようになります!独学だと上手くいかないこともあるので、一人でやって上手くいかなくても、不向きと考えず、あまり落ち込まないでください。
なお、これは定量的なアプローチのみを行うことを意味しておりません。各個人のテーマに合わせて、必要に応じて定量研究と組み合わせながら、質的研究や文献研究も実践していただくこともできます。
研究室で用いる言語:
研究は、日本語または英語で行います。このどちらが、ある程度流暢に話せるのであれば問題なく研究ができます。なお、日本語・英語もどちらも流暢ではない方は、統計・プログラミングの知識・実験計画法の知識があれば問題なく研究できますが、ないとかなり厳しいと思います。特に、日本語が流暢ではなく、学部の専門が「日本語学」の方は、なかなか厳しい道のりになると思いますが、それでも挑戦したい方は応援します。学部で心理学や計量的な社会科学(e.g., 経済学・計量政治学・計量社会科学)や自然科学(e.g., 生態学)を学ばれてきた方は、日本語と英語がともに流暢でなくともスムーズに研究を進めることができます。日本語での研究を希望する留学生はN1レベルがあるとスムーズに研究を進められます(心理学・統計・情報科学への専門的知識があるとN2レベルでも困ることは少ないと思います)。
ゼミではR言語(https://www.r-project.org/)を理解している前提で進めます。
研究室でのお願いと守っていただきたいこと:
また、研究室では論文やレポートにおける盗用(他の人の文章を引用せずにコピーすること)に対しては厳粛に対処します。何が、盗用にあたるかは、研究室配属時に説明します。また、データの捏造といった不正行為に対しても厳しく対処します。これらが発覚した場合、修士論文・博士論文の審査が不合格となることを理解してください(場合によってはもっと重い決定になるかもしれません)。なお、これは私の研究室が特段、厳しいということではなく、どの大学や研究室においても基本的に類似した対応をすると思います。また、研究室ではデータの利用可能性・分析の再現性を重要視しています。学位論文の提出時に全てのデータと分析コード、研究素材を研究室で共有していただき、他のメンバーが再現できる状態にしていただきます。この点について、少し不安と思う方もいるかもしれませんが、不安に思う場合はその都度、相談いただければ一緒に考えたいと思います。
研究室に配属される前に呼んでいただきたいお願い
研究室に配属を希望する方は、以下を必ず読んでください。
研究室希望を書く前に、下記に納得・共感していただきたく思います。
1) 研究室内の呼び名+敬語
年齢、立場(教員・研究員・学生)、ジェンダー、経歴等に関わらず「〜さん+敬語」で統一してください(特に初対面の方にはそうしてください)。大学名が北陸を冠し、北陸にあることから、北陸地方の方言を敬語に代わって用いることは可能です。
もちろん、関係性や交流に応じて上記以外の呼び方や話し方を変えていくのは自然なことだと思います。あくまでもデフォルト(特に初対面では)で、「〜さん+敬語」というガイドラインを持ってください。特に、年齢や立場が異なる場合は注意してください。
他の研究室の方も、本研究室内で研究・発表する限り守っていただきたいです。
また英語で会話する場合は上記のルールは適応できませんが、失礼のないようにお願いします。
研究室の外の人は、個人の責任で好きに呼んでください。
2) データの適切な保存・分析の再現性
データを取得した場合はバックアップを取ってください。
特殊な事情がない限り、データは研究室内で共有する方針です。
また、データは論文の公開と合わせ一般に公開できる状態にしておいてください。
データと分析コードを用いることで誰でも結果を再現できる状態にしてください。
実験に用いたプログラム・調査に用いた調査票も共有できる状態にしていただきます。
具体的には、以下のgithubを参考にしてください。
https://github.com/YNakawake/projectile_neg
上記のデータ整理・研究資料の共有は修士・博士論文の評価に入ります。
3) 研究上・研究室で得た機密・情報に関して
実験・調査で得た個人情報は漏洩しないよう最新の注意を払ってください。
研究室で聞いた他の方の研究内容(自分の共同研究を含む)を伝えることは注意してください。
伝える際にその人が不利になるか考えてください。これはSNSによる発信やブログ等も含まれます。
「安全保障輸出管理」(https://education.joureikun.jp/jaist/act/frame/frame110000155.htm)を遵守してください。
また、これには調査に参加して下さった参加者の情報も含みます。たとえ参加者を褒める意図であっても、実験に参加してくださった方についてはSNS等で書かず、また不必要な発言を及しないようお願いします。ただし、気になる点については遠慮なく、迅速に教員に共有してください。
4) 思想・宗教・政治的発言に関して
個人が思想や宗教を持つことは問題ありません。
ただし、研究室内部での勧誘、大学名や研究室の所属と共に思想・宗教・政治的発言はできる限り控えていただきたく思います。また、研究室・大学内の布教は禁止しています。
本研究室は多様な思想を持つ方を受け入れたいと思います。この目的のため、研究室が特定の「思想・宗教・政治観」と結びつくことは望みません。特にあなたに取って「正しい」価値観であっても、他の人が異なる価値観を持つことに対して寛容でいていただきたいですし、私もそうありたいと思っております。
ただし、これは宗教実践者の方・政治家の方の研究室配属を拒むものではありません。どのような対応ができるか研究室配属前・可能なら入学前に相談していただき、お互いに納得できる方針を決めたいと思います。
5) 研究室内の衛生・安全管理(石川キャンパス)
大学は清潔に使ってください。自分に割り当てられたスペース以外に物を置かないでください。
研究に必要な荷物・その他の理由に基づく荷物を置く必要がある場合は事前に相談してください。緊急性が高い場合は、メールでの通知も可能です。
特に通路に物を置くと、非常時に問題が生じます。かなり危ないです。
特に、食べ物のゴミは放置せず、所定の箇所に捨ててください。部屋の外に捨てて、研究室内のゴミ箱は極力つかないでください。研究室内で許可なく、植物・動物を飼育しないでください。
6) 大学院の研究指導方針に関して
博士課程に進学する目標を持つ学生と修士課程以降に進学を目的としない学生で、研究上の目標を異なる設定をします。また、そのために指導での時間や、研究成果・進捗に対する評価に差が出る場合があります。修士号取得に際して満たして欲しいという目標が異なる場合があります。特に将来、大学や研究所等での研究職(e.g., 教員・研究員)を志望する場合においては、成果・進捗の水準が高くなります。これは、研究職として雇用されるためには、一定の水準を越えないと雇用が難しいためです。
例えば、研究職を目指す場合には、客観的に学術論文として評価される修士論文・研究を目標としてします。一方で、企業で働いた経験や個々の人生経験から生じた疑問を、周辺分野を学んだうえで検討したいという場合も考えられます。この場合は、学術研究というのみならず、個人の関心により寄り添ったテーマを選択してもらうことになることもあります(しかし、あらゆるテーマの指導は不可能で、ある程度は教員の関心や指導できる範囲で設定していただきます)。
また、同じ修士課程・博士課程であっても、品川キャンパス(社会人院生)と石川キャンパスでは、研究に使える時間が異なるため、異なる指導スタイルを取る場合があり、ゼミなどもそれぞれ独立して行うことを想定しています。
研究費に関しては、私が獲得したプロジェクトに関連する研究を行う院生に対しては、実験実施、旅費、研究の備品や書籍等でより多く支出される場合があります。特に海外学会に関しては予算が割り当てたもの以外に使うのは難しく選択的になります。これは研究費の研究計画に、指導する院生との共同研究が含まれる場合があり、院生と共同研究を進むことで研究計画が進捗するためです。特に教員の中心的なテーマの場合は優先されます。
7) 引用・盗用・研究不正
論文の引用が正しくなされているかは学位の対象となります。特に、文献を引用せずに、他の論文の内容を書いたり、コピーすることは、盗用とみなされることに注意してください。データ捏造などの、研究不正は個人だけではなく研究室・大学全体の問題となります。実験に失敗する、データが予想と違う、データが何らかの理由で消失・紛失した場合は、一緒に考えるので、まずは中分に相談してください。例えば、結果が予想と異なっていても、それ自体を報告することは意義があります。パソコンからデータが消えた場合でも、リカバリーできる場合があります。「どうしようもない」と思っていても何とかなる場合があります。
上記が正しくなされているかは、修士・博士論文の評価に入ります。
8) AIの利用
推奨します。ただし、自分の理解していない内容や正確さが確認できないものは、ゼミ資料、レポート、学会発表、論文で用いないでください。著作権等の問題を考えイラストや生成した画像の扱いは注意してください(公の場でイラストを用いる場合は権利が明確になったフリー素材の利用を推奨します)。
推奨図書
以下の本を読んでいただけると助かります。
できる限り配属前に読み終えていて欲しい本
メスーディ, アレックス. (2016). 文化進化論: ダーウィン進化論は文化を説明できるか. NTT出版. ISBN: 978-4757143302. https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002371 [本研究室必読書]
掌田津耶乃. (2023). R/RStudioでやさしく学ぶプログラミングとデータ分析. マイナビ出版. ISBN: 978-4839982836. https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=137781 [本研究室必読書]
松村優哉・湯谷啓・ 紀ノ定保礼・前田和寛. (2021). 改訂2版 RユーザのためのRStudio実践入門〜tidyverseによるモダンな分析フローの世界〜. 技術評論社. ISBN: 978-4297121709. https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12170-9
の文献が難しかったら、以下を読んでいただくのも良いかもしれません(こちらは読み物的、メスーディの本は読んで欲しい)
ヘンリック, ジョセフ. (2019). 文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉. 白揚社. ISBN: 978-4826902113. https://www.hakuyo-sha.co.jp/creature/secret-of-our-success/
おすすめの本(和書)
心理学/実験社会科学関連領域 [心理学に興味がなくても読んでいただけるとありがたいです]
亀田達也・村田光二. (2010). 複雑さに挑む社会心理学 -- 適応エージェントとしての人間 改訂版. 有斐閣. https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641124189
長谷川寿一・長谷川眞理子・大槻久. (2022). 進化と人間行動 第2版. 東京大学出版会. ISBN 978-4-13-013283-2. https://www.utp.or.jp/book/b600572.html
トマセロ, M. (著), 松井智子 (翻訳). (2013). コミュニケーションの起源を探る (ジャン・ニコ講義セレクション 7). 岩波書店. ISBN: 978-4-00-024859-0 https://www.iwanami.co.jp/book/b265436.html
ハイト, J. (著), 高橋洋 (翻訳). (2014). 社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学. 紀伊國屋書店. ISBN: 978-4-314-01117-4 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011174
片平健太郎. (2018). 行動データの計算論モデリング: 強化学習モデルを例として. オーム社. ISBN: 978-4-274-22261-0 https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274222610/ [一部数式に誤植あり:https://kkatahira.github.io/cmbd-book/]
ギーゲレンツァー, G. (著), 小松淳子 (翻訳). (2010). なぜ直感のほうが上手くいくのか?: 「無意識の知性」が決めている. ダイヤモンド社.
計算社会科学関連
サルガニック, M. J. (著), 瀧川裕貴・常松淳・阪本拓人・大林真也 (翻訳). (2019). ビット・バイ・ビット -- デジタル社会調査入門: ビッグデータが変える社会科学の世界. 有斐閣. ISBN: 978-4-641-17448-1 https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641174481
文化進化関連領域
田村光平 (著). (2020). 文化進化の数理. 森北出版. ISBN: 978-4-627-06271-9 https://www.morikita.co.jp/books/mid/006271
レイランド, K. (著), 豊川航 (訳). (2023). 人間性の進化的起源. 勁草書房. ISBN: 978-4-326-10315-7. https://www.keisoshobo.co.jp/book/b618722.html
マイケル・トマセロ、ジョセフ・ヘンリックの本すべて
宗教認知科学関連
ボイヤー, P. (著), 鈴木光太郎・中村潔 (翻訳). (2008). 神はなぜいるのか? (叢書コムニス 06). NTT出版. ISBN: 978-4-7571-0174-6 [絶版]
ノレンザヤン, A. (著), 藤井修平・松島公望・荒川歩 (監訳). (2022). ビッグ・ゴッド: 変容する宗教と協力・対立の心理学. 誠信書房. ISBN: 978-4-414-30636 https://www.seishinshobo.co.jp/book/b602115.html
藤井修平 (著). (2023). 科学で宗教が解明できるか: 進化生物学・認知科学に基づく宗教理論の誕生. 勁草書房. ISBN: 978-4-326-10317-1. https://www.keisoshobo.co.jp/book/b618805.html
写真:廿日市市 宮島町