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興味ある分野を勉強した際に作成した資料の置き場です.
興味ある分野を勉強した際に作成した資料の置き場です.
数学基礎論・数理論理学
「不完全性定理から始まる数学基礎論」
1931年,数学者「クルト・ゲーデル」は現代の数学基礎論の出発点と言うべき「不完全性定理」を証明しました.不完全性定理は数学の無矛盾性証明が困難であることを主張しており,一般には「数学の限界を示した」としてネガティブに思われています.実際この定理には,当時ヒルベルトが主導していた数学の無矛盾性を証明するプログラム(ヒルベルト・プログラム)を頓挫させたという否定的な側面もあります.
しかしながら数学基礎論は,そこで終焉を迎えるどころか不完全性定理を出発点にして非常に豊かな発展を遂げたのです.ゲーデルによる「集合論(ZF)+選択公理(AC)の相対的無矛盾性証明」や,ゲンツェンによる「ペアノ算術(PA)の相対的無矛盾性証明」は,不完全性定理を背後にして達成された極めて偉大な業績です.続くコーエンによる「強制法」の考案にはフィールズ賞が与えられ,不完全性定理をある意味逆手に取った集合論は,後に「巨大基数論」という広大すぎる世界を生み出すに至りました.このように,現代の数学基礎論はゲーデルの不完全性定理によって始まったと言えるのです.
「超準解析による無限小数学」
数学基礎論は数学の「理論」や「構造」を扱う分野であり,うまく応用すれば数学をひっくり返す程のダイナミックな力を発揮します.「超準解析」はそのような数学基礎論のダイナミックな応用の1つで,数学理論(定理)を変えずに数学構造(モデル)を拡大するというものです.この文書では,超準解析を使って既存の数学構造に「無限小」を追加し,その無限小を用いた簡単な応用を紹介します.
[追記] 可積分系の文脈で有名なKdV方程式への応用研究も考えられているようです.
交通流
「交通流の数理」
交通流の数理モデルである最適速度(OV)モデルを特定の条件下で近似すると,複数のソリトン方程式が導かれます.ソリトン方程式の理論だけでなく応用まで視野に入れる場合,個人的にこのような事実は重要だと考えます.この文書ではOVモデルからソリトン方程式を導く計算を実行し,加えて線形安定性解析や熱力学との関係性について論じます.
解析学・応用数学・物理学
「フーリエ解析と拡散・波動」
拡散方程式の初期値問題をフーリエ変換で解くのは,フーリエ解析の定番の応用だと思います.私もこの応用でフーリエ解析の価値を理解しました.この文書ではルベーグ積分論などを使って,ある程度厳密にフーリエ解析を運用し,主要な線形偏微分方程式の解を導きます.
「複素解析と流体力学」
学部1年生の頃の私は数学基礎論しかやっていませんでしたが,(箱玉系で有名な)T先生の複素解析の授業を受けてから「応用数学・物理学にも視野を広げよう」と思うようになりました.きっかけはその授業で,複素解析と2次元(非圧縮性渦無し)流体力学の明快で直観的な対応関係を非常に興味深いと感じたからです.この文書では,自分なりの手順で複素解析と流体力学の関係性を明らかにします.
[追記] 可積分系が専門の身として,流体力学をかじっていて良かったと今までに何度思ったことかわかりません.例えば解析力学で出てくるハミルトニアンは流体力学の流れ関数のようなものですから,流体の直観を解析力学に流用できます.解析力学を楽しめたおかげでリウヴィル可積分系に出会うことができました.そしてこの解析力学を知っていたおかげで量子力学の計算や考え方に早く馴染むことができ,量子力学を知っていたおかげで佐藤理論やラックス形式に馴染みやすかった記憶があります.このような順序で勉強をしたため,私にとっては流体力学が可積分系に通じる出発点となっています.
その他
「いっせーの n ゲームで先攻が勝つ確率」
タイトルの通り,いっせーの n ゲームで先攻が勝つ確率を導出します.