熱対流(マントル対流など)復元のためのデータ同化手法開発
マントル対流は,その一部がプレート運動として現れ,地震や火山噴火の原動力となる重要な現象です.しかし,地球のマントルはとても深いために,直接見ることはことできません.そのうえ,マントルの歴史は46億年と長く,過去の情報はほとんど残っていません.そのため,マントルの内部の状態や,進化の過程には,未解明な点が多く残されています.そこで私たちは,地震波トモグラフィ,プレート運動,岩石記録といったマントルの状態を間接的に示す複数のデータを,パズルのピースを組み合わせるように,「データ同化」と呼ばれる考え方に基づいて流体力学の理論に融合させることで,マントルの温度,流れ,物質循環などの歴史を定量的に復元するための数理的手法を開発しています.また,類似の現象やシステム,たとえば,二酸化炭素の地中貯留サイトのモニタリングや,火山噴火プロセスなどに対するこの手法の展開と応用も模索しています.
関連文献
Nakao et al. (2025, Sci Rep). https://doi.org/10.1038/s41598-025-19724-x
Nakao et al. (2025, JGR:ML). https://doi.org/10.1029/2024JH000288
Nakao et al. (2024, GJI). https://doi.org/10.1093/gji/ggad417