大会長 河合 啓介
国立国際医療研究センター国府台病院 心療内科
このたび第46回日本内観学会大会を2024年7月6日(土)‐7日(日)に東京国際交流会館プラザ平成(東京都江東区青海2-2-1)にて開催させていただきます。
本大会のテーマは「こころの傷つきからの回復と内観法・内観療法」といたしました。
内観が適応される対象者は、自己観察の推進、非行、アルコール依存、抑うつ、不安、摂食障害、不登校などに実績が多く、近年 、ゲーム・インターネット・薬物依存症、孤独・孤立・引きこもりなどにも拡大されています。このような問題を抱える方と接する場合、トラウマとの関連がここそこに見え隠れします。たとえば、摂食障害患者の7割は何らかのトラウマを体験していると報告されています。また、吉本伊信先生の時代と現在では、家族関係も多様になり変化しました。さらに、この数年は新型コロナ感染症のパンデミック、令和6年能登半島地震など、環境の変化や数年単位で繰り返す大規模自然災害で多くの人々がトラウマを経験しています。海外に目を向けると世界各地で紛争が起きています。内観が中国・韓国・欧米に広まることで、国際的な見地からトラウマについても理解する必要がでてきました。
そこで本大会は「こころの傷つきからの回復」を主要な討議のポイントとしたいと考えます。トラウマには多くのエビデンスのあるアプローチがあります。それらを理解しながら、古来より自然災害が多発する日本で発祥した内観が、それらをどのように取り入れて、発展していくのがよいのでしょう。さらに、内観には、普遍的な部分と変えていく必要がある部分があること踏まえた上、社会情勢に合わせて、次の世代に内観を伝えてくにはどのような発展がよいのかなどについて、今回、皆様と討議するきっかけになれば幸いに存じます。
皆様の参加を心よりお待ち申し上げております。