リコーダーやバロック音楽における「アーティキュレーション(舌づかい・音の切り離し)」や「装飾音」が、いかにして現代の「強弱」に代わる豊かな表情(陰影)を生み出すかについて、非常に深く分かりやすく解説している専門のWebサイトやオンライン資料をご紹介します。
リコーダーは、強弱(ダイナミクス)をつけるとピッチが変わってしまう特性があるため、バロック時代には「音と音の間のわずかな隙間の空け方(アーティキュレーション)」や「トリルなどの装飾」を駆使して、光と影を表現していました。以下のサイトで、その具体的なメカニズムや歴史的背景を学ぶことができます。
「吉澤実のリコーダー教育研究所」(あるいは吉澤実氏の解説記事・動画)
概要: 日本を代表するリコーダー奏者であり、NHK教育テレビなどの講師も務めた吉澤実氏の解説です。バロック時代の「ル・テ(le-te)」や「ディ・リ(di-ri)」といった、舌の表裏を使う高度なタンギング(アーティキュレーション)について、それが現代の強弱の代わりにいかに音楽に「言葉のような陰影」を与えるかを具体的に説明しています。
「トヤマ楽器製造(AULOS)公式:リコーダーの知識」
概要: リコーダーメーカー「アウロス」の公式サイトにある解説コンテンツです。「リコーダーの吹き方」や歴史的背景のコーナーでは、息の強さで音量を変えられないリコーダーが、なぜバロック時代に表現豊かな楽器として愛されたのか、タンギングのシラブル(発音)の使い分けによる「音のニュアンスの変化」を初心者にも分かりやすくまとめています。
「Webマガジン『ONTOMO』(音楽之友社)」の古楽・バロック特集記事
概要: プロの古楽演奏家によるコラムが多数掲載されています。特に「バロック音楽の演奏習慣」「楽譜通りに弾かないバロック」といったテーマの記事では、当時の音楽が「演説(スピーチ)」に例えられていたこと、そして言葉のイントネーションのように音の長短やアーティキュレーションで感情の明暗(陰影)を表現していたことが詳しく語られています。
「J.S.バッハのチェンバロ作品を弾く」系の個人の研究・門下生向けサイト
概要: 鍵盤楽器(チェンバロ)もまた、リコーダーと同様に「タッチの強弱で音量を変えられない」楽器です。そのため、チェンバロやオルガンの専門家が書いている「バロックのアーティキュレーション」に関する解説ページは、リコーダーにもそのまま100%応用できます。音をどれだけ保持し、どれだけ早く離すか(スラーとスタッカートの間の無数のグラデーション)によって、いかに「聴き手に強弱がついているように錯覚させるか」という音響心理学的な工夫が解説されています。
大学のリポジトリで公開されている以下の学術論文(ネットで検索すればどなたでも無料で読めるPDF)は、当時の教本を紐解きながら非常にロジカルに解説しており、読み応えがあります。
『サクソフォンにおけるバロック音楽の演奏法について』(長瀬正典 著 / 常葉大学リポジトリ)
注目ポイント: タイトルはサクソフォンですが、内容は16世紀のリコーダー教本『フォンテガーラ』をベースに、リコーダー特有の「タンギング(シラブルの使い分け)」「装飾技法(ディミニューション)」が、楽章内の感情の起伏や陰影を表現するためにどう使われていたかを詳細に紐解いています。
『バロック音楽の演奏習慣』(横山美和・井後勝彦 著 / 広島文化学園大学リポジトリ)
注目ポイント: バロック音楽全般における「イタリア式・フランス式の装飾音(トリルやアポジャトゥーラなど)」が、単なる飾りではなく、旋律に「不協和音(緊張=影)」と「解決(緩和=光)」を生み出すための不可欠なドラマ(陰影)であったことを分かりやすく解説しています。
💡 検索するときのキーワードのコツ ネットで調べる際は、単に「リコーダー 吹き方」とするよりも、**「リコーダー 古楽 タンギング」「バロック 演奏習慣 アーティキュレーション」「チェンバロ アーティキュレーション 陰影」**といった言葉を組み合わせると、フルート経験者であるあなたにとって知的好奇心を満たされるような、質の高い解説ページに出会うことができます。
リコーダーは、息のスピードを一定に保ったまま、舌先と指のタイミングを1ミリ秒単位でコントロールすることで、驚くほど劇的に「音の表情」が変わります。