日本医真菌学会 第2回タクソノミーフォーラム (MycoTaxo) 開催にあたって
代表世話人 杉田 隆(明治薬科大学)
このたび、日本医真菌学会では、公益財団法人発酵研究所の学会・研究部会助成をいただき、本年3月に続いて「第2回タクソノミーフォーラム(MycoTaxo)」を開催する運びとなりました。本フォーラムは「病原真菌分類学への招待:新規病原真菌の発見が医真菌学の未来を切り開く」をテーマに、病原真菌分類学の重要性を広く共有し、今後の発展につなげることを目的としています。新興感染症としての病原真菌は、易感染性宿主の増加や環境変化などにより、国際的にも大きな問題となっています。これらの病原真菌を正確に分類し、その特性を理解することは、感染制御や新たな治療戦略の構築に不可欠であり、分類学の発展は医真菌学全体の進歩に直結すると考えられます。そのため、病原真菌分類学者への研究活動の支援は、日本医真菌学会にとっても重要な使命の一つであると認識しております。
第2回目のフォーラムでは、菌種名と疾患名の関係についての議論を深めたいと考えています。多くの真菌症は、カンジダ症のように菌種名に由来した疾患名が使われていますが、近年では原因菌の名称が必ずしも疾患名に反映されない例も増えてきました。この点について、臨床現場の視点や細菌学の分野との対比を通じて、多方面からのご意見を伺いたいと存じます。また、本フォーラムでは、抗真菌薬の創薬に関する特別講演に加え、最先端の基礎医真菌学研究についての講演も予定しております。さらに、「The Yeasts, A Taxonomic Study」の編集長であるTeun Boekhout博士(Westerdijk Fungal Biodiversity Institute, The Netherlands)に、酵母分類学に関するご講演をいただく予定です。真菌分類学の国際的な動向を知る貴重な機会になるものと期待しております。本フォーラムが病原真菌分類学のさらなる発展に貢献し、医真菌学の未来を切り開く契機となることを願っております。皆様の積極的なご参加を心よりお待ち申し上げております。
最後になりますが、本フォーラムの開催にあたり多大なるご支援をいただきました公益財団法人発酵研究所、Post Congress of APSMM2024、ならびに教育セミナーにご協賛くださいました栄研化学株式会社に、心より厚く御礼申し上げます。