宮城県大崎市は県北西部に位置し、奥羽山脈と豊富な温泉資源、鬼首カルデラで知られる荒雄岳と船形連峰を源とする江合川と鳴瀬川の恩恵を受けた、広大で肥沃な平野を形成している地域です。これらの豊かな自然の恵みを生かし、農業では水稲を中心とした園芸と畜産を組み合わせた複合経営が主体となっており、園芸作物の中では、ホウレンソウと高糖度トマトが有名です。
平成6~7年に4戸の生産者が補助事業により鉄骨ハウスを導入し、それ以前からデリシャストマトの栽培を行っていた2戸の生産者と合わせて、本格的にデリシャストマト栽培を行うようになりました。現在では各生産者が規模を拡大しながら、デリシャストマトを中心に約5.5haの規模で栽培しています。部会員は40歳代から70歳代と年齢層の幅が広く、平成28年より新規就農者が1名加わり、計7名で部会活動を行っています。
玉光デリシャストマトの問題点として、異株の発生がありましたが、改良系はその割合が格段に下がっています。また、苗に仕立てた時も節間がつまった良い苗になり、食味、収量共に問題ありません。来期から切り替えをしていきたいと考えています。
「玉光デリシャストマト」は、食味が良く、酸味と甘味のバランスがすばらしいトマトです。しかし、以前は高糖度トマトとしてではなく、おいしいトマトとして市場出荷をしていました。その後、糖度7度以上のトマトを「デリシャストマト」とする高糖度トマトブランドを立ち上げ、栽培を開始しました。立ち上げ当初はなかなか糖度が上がらず、多くの奇形果を出してしまったこともあり、試行錯誤の連続でした。その中で各生産者に合ったトマト作りの模索や栽培技術レベルが上がったことにより、デリシャストマトを安定供給できるようになりました。作付けは8月から9月頃、トマトは1月から7月頃まで出荷しています。
現在でも新しい技術の取入れやさらなる栽培技術向上のため、毎年現地検討会で部会生産者全員の圃場を巡回し、生育状況や問題点などを話し合っています。また、JAや地域の直売所が多く出来たことにより、以前の市場出荷中心の販売から、現在は生産者による直接販売や直売所での販売が多くなり、トマトの販売単価と所得向上になっています。