2018年度の「現代物理学」はAセメスターに「トポロジーと物理」というタイトルで開講しました。参加者の方から、より発展的な内容や最近の話題など、#駒場現代物理学2018 で触れられなかった内容も聞きたいという要望を頂いたため、2019年度「現代物理学」の特別編として開催することにしました(単位や成績とは関係ありません)
以下にも説明するように、4/26(金)午後の特別編は「歴史」を中心に数学的な詳細には踏み込みませんので、1年生やいわゆる文科系の方を含め、#駒場現代物理学2018 で扱った予備知識が全くない方でも楽しめるかと思います。( #駒場現代物理学2018 の内容を理解していると2倍面白い、はず。)
東京大学物性研究所談話会、学習院大学理論物理学講演会、KEK連携コロキウム、Johns Hopkins University Physics and Astronomy Colloquium、Kavli Institute for Theoretical Physics (UC Santa Barbara) Special Seminar、韓国KAIST Physics Colloquium、等々で講演して好評を博した講演と同様の内容になります。プロジェクターを用いた講演になります。
理論物理としては高度な内容を含んでいますが、予備知識がない方でも歴史的な話など、それなりに楽しめると思いますので1年生や文科系の方にもおすすめします。
田崎さんの感想→ https://twitter.com/Hal_Tasaki/status/883974871155326976
なお、今年度の「現代物理学」の講義の内容とは直接関連はありません。
【概要】
2016年のノーベル物理学賞は、「トポロジカル相転移と物質のトポロジカル相の理論的発見」に対して、サウレス、コステリッツ、ハルデンの3氏に授与された。ハルデン氏の主要な受賞業績は、量子反強磁性スピン鎖の定性的な性質はスピン量子数が半奇数か整数かによって全く異なり、整数スピンの場合には励起ギャップ(「ハルデンギャップ」)を持つという予言である。ほとんどの教科書や解説では、ハルデン氏のこの理論的発見は、量子スピン鎖の有効的な場の理論である非線形シグマ模型が持つトポロジカル項に基づいたものとされてきた。
しかし、ハルデン氏本人の回顧や、失われていた「幻の論文」の発見によって、ハルデン氏による当初の発見の経緯はそれとは大きく異なり、同時にノーベル物理学賞の授賞対象となったベレジンスキー・コステリッツ・サウレス(BKT)転移の理論と密接に関係していたことが明らかになった。
本講演では、おそらく当時としてはあまりに斬新すぎたために奇妙な運命をたどったハルデンギャップの発見の経緯とともに、その物理的内容をなるべくわかりやすく解説したい。また、ハルデンギャップの発見がその後の物理学の発展に与えた影響についても議論したい。
詳しい内容は未定ですが、#駒場現代物理学2018 や上記 4/26(金)の特別編に関連する発展的な内容を、ある程度詳しく黒板を使って講義します。もう少し具体的な内容が固まったらこちらでお知らせします。