数理最適化寄附講座ワークショップ

趣旨

大阪大学大学院情報科学研究科は,株式会社ブレインパッドと富士通株式会社から寄附を受けて2020年10月より数理最適化寄附講座を設置し,産学連携と研究開発を主たる業務として,数理最適化のビジネスへの展開と基盤技術の開発に取り組むことになりました.また,2021年10月には,新たに株式会社リクルートより寄附を受けました.

数理最適化寄附講座も最終年度の3年目に入り,設置期間も残りわずかとなりました.そこで,数理最適化寄附講座の活動を含む,数理最適化分野における国内外に産学連携の取り組みを議論する場としてワークショップを開催します.

多くの皆様にご参加いただき,実務の幅広い分野への数理最適化を普及を推し進める良いきっかけになれば幸いです.

日時・場所

参加登録

8月23日(水)までに下記の参加登録フォームより事前登録をお願いします.
会場予約の都合により,8月7日(月)以降は意見交換会の申込をお断りする可能性があります.
お早めの参加登録をよろしくお願いします.

参加登録フォーム

プログラム

講演会(13:00〜18:40)

※講演タイトルおよびアブストラクトは随時更新します.

13:00 - 13:50  品野 勇治(Zuse Institute Berlin)

Zuse Institute Berlin (ZIB) における産学連携について
Zuse Institute Berlin(ZIB)は,整数計画ソルバの研究に最も利用されていると思われる SCIP (Solving Constraint Integer Programs) Optimization Suiteの開発主体である.現在,SCIPはApache 2.0 license によるopen sourceとなっている.SCIPの開発者の多くは,商用ソルバであるGurobi,Xpress,COPTの開発者となっている.整数計画ソルバに限らず,ZIBでは多くの研究が,企業との共同研究という形態で行われており,研究費の70%程度は企業からの研究費で成り立っている.本講演では,ZIBにおける産学連携の様子を具体的に紹介すると共に,講演者の経験から日本における大学等の産学連携との違いについて紹介する.


13:50 - 14:40  竹本 一矢(富士通株式会社)

デジタルアニーラを核とした数理技術による社会課題解決と産学連携の取り組み
富士通は高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に活用できるプラットフォームとして「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」を提供しています.特にCaaSを構成する要素の一つである「デジタルアニーラ」は,QUBOと呼ばれる表現形式などにマップされた組合せ最適化問題の最適解を効率よく探索する量子着想のコンピューティングアーキテクチャであり,AIやシミュレーション,数理最適化アルゴリズムとも連携しながら多種多様な社会課題解決をもたらす技術として注力しています.本講演ではこれらの具体的な事例を示すとともに,このような融合領域研究を促進するうえでの寄附講座・共同研究の活用および人材育成の取り組みについても触れます.


14:40 - 15:00  休憩


15:00 - 15:50  久保 幹雄(東京海洋大学)

「理論と実務を繋ぐには V」
最適化理論の発展,最適化ソルバーと計算機の高速化,データ分析ならびに機械(深層)学習ツールの普及によって,最適化を実務に適用するための敷居は大幅に下がってきている.しかし,実際問題に最適化を適用する際には,様々な障害に直面する.本講演では,それらの障害を克服するための具体的な方法について(30年の実務研究の経験をもとに)解説する.具体的には,以下の内容をオムニバスで話す.
・最適化プロジェクトの進め方とライフサイクル
・モデリングとデータの前処理
・理論家と実務家からみた最適化モデルの違いとギャップの埋め方
・最適化と機械学習の融合による実際問題の解決の枠組み


15:50 - 16:40  日吉 久礎(株式会社ブレインパッド)

数理最適化の社会実装におけるチャレンジとプラクティス
ブレインパッドでは,サプライチェーンにおける調達・製造・物流の効率化に向けた受託分析を実施することが近年増えてきました.高度に複雑化されたオペレーションの一部をシステムによって代替する際,数理最適化の技術が有用であることは言うまでもありません.一方で実案件では,いかにしてオペレーションに関する暗黙知を抽出するかが課題になります.本講演では,可視化と機械学習を用いた弊社の取り組みについて紹介します.


16:40 - 17:00  休憩


17:00 - 17:50  西村 直樹(株式会社リクルート)

「リクルートにおける数理最適化の活用事例と産学連携の取り組み」
リクルートは,販促領域や人材領域など多種多様なサービスを提供しており,これらのサービスでのデータ活用は多岐にわたります.数理最適化はその中でも一つの重要な問題解決手法であり,現在では多くの領域の問題解決に活用されています.本講演では,リクルートのサービスにおける課題、数理最適化の具体的な活用事例,そして産学連携の取り組みについて紹介します.


17:50 - 18:40  梅谷 俊治(大阪大学)

「実務につなげる数理最適化:数理最適化寄附講座の取り組み」
最近は,多くの企業が数理最適化の活用に興味を持つようになり,産学連携の機会が急増しています.一方で,企業に数理最適化の専門家は少なく,大学から輩出できる人材にも限りがあるため,実務における数理最適化の活用はごく限定された範囲にとどまっているのが現状です.本講演では,多くの企業が抱える実務の各段階における問題解決の支援を通じて,企業において数理最適化の専門家を育成し,基幹事業において数理最適化を活用する枠組みの創出を目指す,数理最適化寄附講座の取り組みを紹介します.


意見交換会(19:00〜21:00)

大阪中之島センター 9階 サロン・アゴラ

連絡先

大阪大学大学院情報科学研究科 数理最適化寄附講座

梅谷 俊治(umetani@ist.osaka-u.ac.jp)