Research topics
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近年、ファイバーレーザーを光源として利用したテラヘルツ時間領域分光装置が市販されるようになり、多くの分野で使われています。しかし、光ファイバーを光路に用いている場合、環境温度や装置内の温度が変化したときに時間原点がドリフトしてしまうという問題がありました。時間軸がシフトすると位相スペクトルの傾きが変化してしまうため、そこから導出される複素屈折率スペクトルの形状や絶対値が正しい値にならなくなってしまいます。今回は従来から用いられてきたDorneyらの方法(J. Opt. Soc. Am. A (2001))を拡張することで、この時間軸シフトの影響を簡便に取り除くことに成功しました。右の図に、今回開発した補正法を使った場合と従来法で計算した場合の屈折率スペクトルを示していますが、補正を行った場合に振動成分が一切ない滑らかなスペクトル形状が得られていることがわかります。
詳細は以下の論文をご参照ください。オープンアクセスなのでどなたでもご覧になれます。
M. Okano et al., J. Opt. Soc. Am. B 7, 1638 (2025).
今回、Nakamura et al., ACS Appl. Polym. Mater. (2019)を書いてから個人的にずっと気になっていた、従来法を使うと残ってしまう複素誘電率スペクトルの振動成分を完全に消すことができたので、とても気にいっている論文です。