今から十五年ほど前、ビデオにて塩田剛三先生の映像を見て、感動したことを昨日のように覚えています。体術は高校生の頃少しかじっていましたが、合気道なるものは初めてでありました。身長154センチ、体重46キロと非常に小柄な体格ながら、身長2メートル弱、体重100キロ以上の人間をクモを押しつぶすように、いとも簡単に合気にて制していました。確か、ロバート・ケネディ氏のSPの一人だと思われます。そして、この日から人生の目標が合気を得ることになったのです。
合気道に入会したのが、五十四歳の時。四年で初段を取り、弐段、参段と現在に至ります。型を覚え、理合を認識し、真理の追究となるのですが、未だ至りません。
私の考える合気とは、強さの中にあるのではなく、弱さの中にこそある強さ、柔らかさだと考えております。強さと弱さの対比ではなく、弱さの中にある秘められた、目には見えぬものだと考えております。
子供の頃、手足の不自由な人の畏敬にも似た強さを感じた私は、己の弱さを自覚したものでした。胸を張り、肩を怒らせて集団にて歩いている人には恐怖心を感じることもなく、弱者である人の内にある強さに憧れを感じたものでした。この体験が、今の合気に繋がったと思われます。
合気には定義がなく、原理があると言われますが、その原理にも団体、流派、個人によって少なからず違っているなと思われます。 これからも、己の想うところの合気を追求していくしかないと信じております。皆様方のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。