半導体結晶中の格子欠陥はデバイス性能不良と信頼性低下の原因である.原子レベルで欠陥の構造を観察した上で,欠陥の光学的および電気的特性を理解する.これにより,欠陥のデバイスに与える影響を明らかにし,高性能・高信頼性のデバイスの実現に向けて,欠陥低減の指針を構築する.
放射光X線トポグラフィーによる次世代半導体結晶と半導体デバイスの欠陥解析
放射光X線は高輝度,高指向性,波長可変といった特徴を有するため,ラボX線装置で実現できない超高空間分解能で結晶中の格子欠陥を観察することができる.さらに,非破壊かつ,リアルタイムで実動作中のデバイスの欠陥の挙動も可視化できる.本テーマでは,放射光X線トポグラフィーをベースに,世界最先端のデバイスオペランド観測技術の確立を目指す.放射光実験はKEK@つくば,SPring-8@兵庫,SAGA-LS@佐賀などの放射光施設で実施する.
集束イオンビームと透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた原子レベルの欠陥微構造解析
欠陥の形成メカニズムとデバイス中の振る舞いを理解するために,原子レベルで欠陥構造を解析する必要がある.本テーマでは,集束イオンビーム(FIB)で結晶中の欠陥を微細加工で抽出し,電子線が透過するほどの厚み(100nm)まで薄膜した上で,TEMで欠陥の微構造を観察する.原子のずれを約1,000,000倍に拡大し,自分の目で見てみませんか.
機械学習を活用した欠陥像解析とキラー欠陥の同定
様々な欠陥種類がある中で,デバイスの性能を向上させるために,凶悪度の高い「キラー欠陥」を優先的に低減すべきである.欠陥物理と情報工学を融合した本テーマでは,機械学習を活用し,欠陥像とデバイス動作特性との関連性を調べることで,キラー欠陥を特定する.