(ワークショップとポスターセッションの参加は無料です)
10:00 ~ 10:10
開会の言葉
10:10 ~ 10:30
鈴木 誠 (科学技術振興機構 (JST) 戦略研究推進部)
CREST "予測数学基盤" 領域紹介
10:30 ~ 11:00
焼野 藍子 (東北大学 流体科学研究所)
日本の航空宇宙産業における流体研究の役割と課題
キーワード: 流体力学,航空宇宙産業,分岐
「流体」は,車や航空機,ジェットエンジンなどの輸送機器や原動機の性能を決定づける重要な工学課題であり,かつて数物分野の発展にも寄与してきました.しかし,現在の数学物理における流体の扱いは,工学的課題の解決を目的としておらず,両者の間には大きな隔たりがあります.流体の支配方程式における「分岐の性質」や「遷移」現象の予測・制御が難しいため,一般に高速輸送機や原動機の新技術の認証は非常に慎重に行われています.日本の技術が認証を受けるためには,実機試験と同様に,高度で信頼性のある理論が必要です.しかし,過去に研究開発が制限された歴史もあり,十分な理論的基盤が整っていないと感じられます.数学物理の研究者たちの貢献が,日本の航空宇宙産業に対する欧米からの評価向上に寄与することが期待されます.
11:00 ~ 11:30
相馬輔 (統計数理研究所 先端データサイエンス研究系)
部分空間上の劣モジュラ性と応用
キーワード: 組合せ最適化,劣モジュラ関数
劣モジュラ性は,工学上の諸問題に現れ,効率的なアルゴリズム設計の鍵となる,組合せ最適化の重要な性質である.近年,従来の劣モジュラ性を拡張した「部分空間上の劣モジュラ性」と呼ぶべき性質が,作用素スケーリング,共分散行列の推定,Brascamp-Lieb多面体,箙の表現論などの新しい問題に現れることが分かってきた.本講演では,これらの新しい劣モジュラ性の諸例と発表者の研究について紹介する.
13:00 ~ 13:30
近藤 洋平 (名古屋大学 One Medicine 生命-創薬共創プラットフォーム)
神経変性疾患の微分可能なシミュレーションと脳画像解析
キーワード: 神経変性疾患,データ同化,脳画像
アルツハイマー病やパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患では病変が脳のごく一部から始まり,その近傍から徐々に伝播していく.この病態進行の理解と予測のために偏微分方程式によるモデリングとシミュレーションが研究されているが,生化学パラメータの不均一性などに未解明の点が多く,信頼できる予測を出すには至っていない.そこで我々はヒト脳画像,特に陽電子断層撮影法 (PET) による病変分布のデータとシミュレーションの比較に基づく誤差逆伝播によってパラメータや初期条件の推定を進めている.研究成果の紹介とともに,力学系モデリング・数値シミュレーション・最適化における数理的課題について議論したい.
13:30 ~ 14:00
松井 求 (京都大学 化学研究所)
「バイオものづくり」をめぐる数理的課題
キーワード: バイオものづくり,メタゲノム解析,バイオインフォマティクス
JST革新的GX技術創出事業 <バイオものづくり領域> の一員として,我々は植物と微生物の相互作用ネットワークに着目し,圃場の生産性の向上や,新規化合物の生産につながるような微生物の機能や代謝経路,相互作用を探索している.例えば,これまで我々が調査対象としてきた輪作圃場における大規模メタゲノム解析は (1) 少数のキーストーン種による相互作用ネットワーク全体の安定化,(2) 農薬散布といった環境撹乱に対する微生物叢の強固なロバストネス,(3) 形質レベルでの比率制御,(4) Genelalist/Specialistという相反する戦略への二極化,(5) クロスフィーディングを介した共存関係,などを明らかにしてきた.これらはそれぞれ興味深い現象ではあるものの,作物や環境に及ぼす影響は未解明であり,これらの知見をGX技術へと結びつけるためには,現象のモデル化と,その操作を通した理解が鍵になる.本ワークショップでご紹介するこれらの数理的課題が,MfIPにおけるシーズとニーズの交差点となれば幸いである.
14:00 ~ 14:30
山口 純輝 (鹿島建設株式会社 技術研究所AI×ICTラボ)
条件付き敵対的生成ネットワークと地震学の融合による地震動時刻歴波形群の自動生成
キーワード: 条件付き敵対的生成ネットワーク,スペクトルインバージョン解析,地震動時刻歴波形
建設会社にとって,ある固有の建設地点における高精度な地震動評価は重要な業務の一つである.地震時の建物の詳細な挙動を解析するには,地震動の時刻歴波形が必要になる.ただし,同じ地震の条件であっても波形は「ばらつく」ため,「不確かさ」も考慮した評価が必要になる.そこで我々は,機械学習の一種である条件付き敵対的生成ネットワークと地震学のスペクトルインバージョン解析を融合させ,「ばらつき」まで再現できる地震動時刻歴波形群を生成する手法を提案した.本講演では,手法の概要と観測記録を使った適用例などを紹介する.
14:45 ~ 15:15
ポスターセッション講演者 ショートトーク
15:15 ~ 16:45
ポスターセッション
17:00 ~ 19:00
交流会
(当日会費をお支払いいただきます)