10:00 ~ 10:15
開会の言葉/来賓挨拶
10:15 ~ 10:30
小谷 元子 (東北大学)
CREST研究領域 "予測・制御のための数理科学的基盤の創出 [予測数学基盤]" の紹介
10:30 ~ 10:45
荒井 迅 (東京工業大学)
さきがけ研究領域 "未来を予測し制御するための数理を活用した新しい科学の探索 [未来数理科学]" の紹介
10:45 ~ 11:15
谷口 隆晴 (神戸大学)
深層科学技術計算とそれを支える数学
キーワード: 作用素学習, Physics-Informed Neural Network, 深層物理モデル
近年,物理学のための深層学習手法が注目されている.このような研究は,2019年ごろから始まり,物理モデリング・シミュレーションのための様々な方法が提案されている.特に,一部の手法については,従来の物理シミュレーション手法では非常に長い時間がかかっていたような現象についても,リアルタイムシミュレーションが可能となると期待されている.一方,このような研究を進めるためには,深層学習に関する知識に加え,解析力学をはじめとする物理学の知識,物理シミュレーションのための数値計算の知識,それらを理解するための幅広い分野の数学の知識が必要となる.そこで,本講演では,近年の物理のための深層学習手法の代表例を紹介すると同時に,そのような研究を始めるために必要となる数学についても,講演者の経験を踏まえて紹介する.
11:15 ~ 11:45
大林 一平 (岡山大学)
パーシステントホモロジー 〜理論・ソフトウェア・材料科学への応用〜
キーワード: 位相的データ解析, パーシステントホモロジー, 材料科学, 数学ソフトウェア
パーシステントホモロジーはトポロジーの理論を利用してデータの形を特徴付け, 形のデータサイエンスを実現するための数学的ツールで, 位相的データ解析の主要なアイデアである.
本講演では講演者のこれまでのパーシステントホモロジーに関する研究について, 理論からソフトウェアの開発, 応用まで紹介する. 材料科学への応用例 (南谷らとのアモルファスの熱伝導率とミクロ構造の関係に関する共同研究) を中心に, 数学・数理側の理論・手法の研究と応用とのインタラクションについての実例を示したい. パーシステントホモロジーに関する講演者の研究に関してはデータ解析ソフトウェアHomCloudが重要な役割を果たしており, この講演では特に数学の連携研究におけるソフトウェアの重要性について紹介したいと考えている.
連携研究におけるコミュニケーション, 連携研究で重要な鍵となった「パーシステントホモロジーの逆解析」手法の紆余曲折, HomCloudの開発で努力したこと, といった内容についても触れたいと考えている.
13:00 ~ 13:15
坂上 貴之 (京都大学)
JSTの支援による数学研究のかたち
キーワード: さきがけ,クレスト,戦略目標
私は研究者としてJSTさきがけ,JSTクレスト研究を推進し,現在は私はJSTさきがけ数理構造活用領域の研究総括を務め,研究者キャリアの長い期間にいろいろな立場でJSTの研究プロジェクトにかかわってきました.その中で多くの自分の分野とは違う数学研究者とふれあうことができましたし,非常に研究者としての幅を拡大することに役立ちました.そうした経験を踏まえて,科研費での研究とはまた違ったJST研究支援による数学研究の姿を点描してみたいと思います.今後応募を考える皆さんのヒントになれば幸いです.
13:15 ~ 13:45
宮武 勇登 (大阪大学)
数値解析学から見た非逐次データ同化
キーワード: 数値解析, データ同化, 不確実性定量化
数値解析学では,微分方程式などに対して近似解法を開発し,その誤差を主に定性的観点から数学的に評価する.数値解析学はこれまで,数学と計算機の双方の発展に支えられて進展してきたが,計算の需要は高まる一方で計算機速度の単純な成長速度は終焉が近づいており,現在では,十分に高精度な数値計算を期待・想定しづらいことも少なくない.例えば,非逐次データ同化(発展方程式の逆問題に相当)では,モデリングや観測などの不確実性に加えて,近似計算による不確実性も無視できないことがある.このような不確実性は定量的に評価する必要があるものの,従来の定性的な評価では必ずしも十分ではない.このように,非逐次データ同化への応用を考えると,そこには,新しい数値解析学的問題設定が豊富にあり,それらについて,地震学の研究者との連携の経緯にも触れながら紹介したい.
13:45 ~ 14:15
李 聖林 (京都大学)
ニーズに応える, 期待を超える, 「今」役に立つ数理科学: 数理皮膚医学を目指して.
キーワード: 数理医学, 皮膚医学
医学は大きく基礎医学と臨床医学に分けられます. 基礎医学は基礎生物学とも言え, 異分野融合研究分野で幅広く認識されている, 生物学と数理科学の融合研究の一部といえます. 一方, 同じ医学であるにもかかわらず, 臨床医学は目指す目的や手法が基礎医学とは異なる学問であると言えます. 基礎医学が「将来」役立つことを目指す学問であるとすれば, 臨床医学は「今」役に立つ, 現在患者を治療することに重点を置いた学問であると言えると思います. なので, 臨床医学のニーズに応える数理科学も「将来」ではなく, 「今」役に立つ数学を生み出すことが求められます. その考え方は, 数理モデリングにおいても従来のアプローチとは異なる発想が求められます. 本講演では, 7年以上にわたり皮膚科の臨床医と共同で皮膚疾患に取り組んできた経験を例に取り上げ, 現場での出会いから共同研究の成立, ニーズへの対応, そしてその期待を超える『今』役に立つ数理科学への展開についてお伝えしたいと思います.
14:30 ~ 15:00
ポスターセッション講演者 ショートトーク
15:00 ~ 16:30
ポスターセッション
17:00 ~ 19:00
交流会