シアノバクテリアと共生する渦鞭毛藻
地球上に存在する生物のうち、肉眼では直接捉えられない微生物がその多様性の多くを占めます。しかし、科学研究の発展目覚ましい今日においても、細菌や古細菌、原生生物といった微生物の多様性やその進化の道筋には未知の部分が数あまたあります。「真核生物がどのように古細菌的な祖先から生じたのか」「系統的位置が知られていない未知の微生物がどのような特徴を持っているのか」「細胞内共生からのオルガネラ化はどのようにして進むのか」など、その疑問は枚挙に暇がありません。当研究室では、稲垣祐司教授と中山卓郎助教がそれぞれの切り口から、そんな未知多き微生物について研究・議論しています。
稲垣教授の下では分子系統解析のアプローチから真核微生物の進化を研究します。以下はテーマ例です。
一次植物の系統関係の解決
DNAポリメラーゼの多様性と進化の解明
新奇真核生物のミトコンドリアゲノムの解析
中山助教は共生関係について主に焦点を当てており、対象生物の採集やゲノム抽出といった「ウェット」な作業からゲノム解析や系統解析といった「ドライ」な作業など幅広く手を動かしながら研究をしています。以下はテーマ例です。
真核生物と共生する微小シアノバクテリアにおける多様性の網羅的解析
緑色渦鞭毛藻の痕跡核ゲノム解析
渦鞭毛藻と共生する新奇シアノバクテリアの発見
真核生物全体の系統樹
ある学生の作業デスク
各学生に解析用のLinuxデスクトップが与えられます。基本的に解析はコマンドライン(黒い画面に文字だけが出てくるもの)で行いますが、教員や先輩が丁寧に教えますから、PC初心者でもご安心ください。学生の数に応じて生農棟の院生室ないし実験室が居室となります。コマンドラインの他にも初歩的なプログラミングやその他PCの扱いについても教育を行います。
コアタイムはありません。自宅でできる作業も多いため、断りを入れれば自宅での作業も可能です。最初のうちは研究室の生活に慣れてもらうため、平日は大学に来てもらう方針となっています。
春学期と秋学期に毎週行います。月1回~モジュール1回の間隔で進捗報告を、残りの回では論文紹介を行います。このゼミを通して学生・教員間で研究に関する議論やアドバイスを行ったり、プレゼンテーションによる研究発表の指導が行われたりします。
希望すれば学会の参加が可能です。参加する場合には原則発表を行うことになります。学会での発表に際して、教員や他の学生を交えて発表練習を行うことで、学外に出すに堪えるクオリティまで皆さんの発表を押し上げます。タイミングが合えば学生の国際学会への参加もできますから、学会の参加はしやすい研究室となっているでしょう。
当研究室の実験室(B308)
応募いただいた学生の数にもよりますが、基本的に当研究室で出た論文を10本読み、そのまとめをレポートにして貰います。論文の理解を深めるため、専門英語のように1人2本前後の論文紹介も行います。
研究室見学などを希望の場合には以下の連絡先まで一報願います。
稲垣教授:yuji@ccs.tsukuba.ac.jp
中山助教:ntakuro@ccs.tsukuba.ac.jp