名前とあいさつ

……


…ヌシ…


……



……

よーしよし。“”はブジに結べたようじゃな。

これからヌシらは一心同体。共に手を取り、協力し合うのじゃぞ。

…おっと、スマン。

…ワシ、アマテラスじゃ。

流石に、突然放り出されたままでは、右も左も分からんじゃろうからな。一人前の“めがみ”になるまで、導き手として同行してやろう。

どーじゃ?この化身。これはこれで、愛らしいじゃろー!

………(腹の音)

…腹の音で返事とは。不仕付けなやつ…

ふーむ。まだ本調子ではないみたいじゃな。

それもそうか。コヤツは生まれ変わったばかり。

力の“器”となる“”というものが、不安定なんじゃな。


おヌシ、コヤツに“名前”をつけてやってくれんか?

コヤツの“”は、何というのじゃ?


………


………ツクモ


… ツクモ …

…うむ。良い名じゃ。

どうじゃ。お前もコレで目が覚めたじゃろ?

……

…〜〜〜〜〜〜。

…〜〜?

……

所詮はツクモガミ… ヒトのコトバを自在に操る程の《神格》は、備えておらんか…

ええい、お前も今や“めがみ”の端くれじゃ!“気合い”と“根性”でなんとかしてみせんか!

……

あ〜〜〜〜あ〜〜〜〜

あがが… ダメじゃ、こりゃ…

…この“大めがみ”、アマテラスを目指そうなど百年早いぞ、お前…

…〜〜〜?

…いかにも。ワシがアマテラスじゃ。

…〜〜〜?

…さよう。太陽の“大めがみ”じゃ。

…〜〜〜!

うう、鼓膜に響く…

あ、あ〜〜あ〜〜

ええい、やめろやめろ!ワシが代弁してやるから、ちっと黙っとれお前は!


…アマテラス様!お会いできて嬉しいです!

私ずっと、“お日様”に憧れていたんです!

こんなに間近で見られるなんて…

…カンドウですッ!

…カンゲキですッ!

…でも、思ったより、小さいんですね。

ド や か ま し い わ ッ !

必要以上にちっこいのはお前の方じゃ、たわけっ!わざわざサイズを合わせてやっとるっちゅうのに…

それよりお前、いい加減“ヌシ殿”への“挨拶”を済ませておけよ?

…〜〜?

目が覚めたら、“おはよう”!太陽ヒトを繋ぐ、大切な“コトバ”じゃ!

ツクモガミとその持ち主…  心を通わせるためにも、“挨拶”が必要じゃろう。

…あ、そうじゃ。せっかくじゃから、ヌシ殿に協力してもらうとしよう。

おヌシとコヤツの“挨拶”… 決めてやってくれるか?


『おはよう』


……

……〜〜〜。

……

お前はまず、ニンゲンのコトバを理解するトコロからじゃな…

…まったく、こんな有様でよくもまあ大仰な夢を持ったもんじゃ…

協力してくれとるヌシ殿に、感謝しておけよ。

……

…〜〜?

…カン、シャ?

…ん?もしやコヤツ。

“ツクモガミ”としてこの世に生まれながら… ヌシ殿との関係をマッタク理解できておらんのかッ!

この、不届き者めッ!

ええい、やむを得ん!ヌシ殿を“地上”に送り返すついでに…お前に“ツクモガミ”の“作法”を叩き込んでくれる!

とりあえず、場所を変えるぞ!

この、“電車”と。この、“サイコロ”でな!

…多少強引じゃが、知った事か。《神格試験》の始まりじゃッ!