人々の移動や物流を支えている道路は,地震などの災害時に避難・救急のためのルートになるだけでなく,資機材も含めた輸送ルートになることで,復旧・復興に向けた社会的基盤となります.すなわち,災害時こそ,その交通機能等を継続して発揮することが必要とされます.一方で,過去の災害を振り返ると,一度大きく損傷すると復旧に長期間を要する橋梁の被害等に起因し,社会経済的に長期間かつ大きな損失をもたらしたケースも少なくありません.
当研究室では,突然発生する地震や洪水,構造物に生じる経年劣化等のマルチハザードを踏まえた上で,1)損傷・劣化が生じ得る部材・部位の高性能化,2)複数部材・部位で構成される構造システムとして,構造内において復旧させやすい部材・部位に損傷を誘導するための損傷制御,3)異種構造物群から成る道路ネットワークとしての交通機能の確保および向上に関する研究を行っています.これらのように,部材・部位,構造物,ネットワークの3レベルを有機的に連携させて,スパイラルアップさせることで,災害時こそ機能継続し,社会を支える社会基盤施設の創造に資することを目指しています.