2021年4月 長崎大学情報データ第5回コロキウムにて
近年の実験技術の革新的な発展により、個々の細胞の網羅的な遺伝子発現量を定量が可能となりました。このような1細胞解像度の発現データを用いることで、細胞運命や遺伝子発現ダイナミクスなどの詳細な理解が可能になると期待されます。当研究室のメンバーはこれまでに、1細胞データから様々な知識を抽出すべく、以下のような研究に取り組んできました。
細胞分化過程を再構築し発現ダイナミクスおよび細胞運命を解析するための機械学習法の開発
細胞分化過程で働く転写制御ネットワークの推定アルゴリズムの開発
新規転写産物とその発現変化を検出するためのアルゴリズムの開発
血液などの検体に含まれる物質を調べることで診断を行う技術はリキッドバイオプシーと呼ばれます。当研究室では、パーキンソン病特異的に検出されるmiRNAやメタボロームから、パーキンソン病の背後に潜むメカニズムの解明を目指しています。本研究は、順天堂大学医学部服部信孝教授のグループとの共同研究です。具体的な研究成果としては、順天堂大学より発表されたプレスリリースを御覧ください。
一般的な生物種の進化のみでなく、パンデミックにおけるウイルスの進化、あるいは個体内のがんの進化や抗体の配列の進化など、階層的な木構造状の時間発展は様々な生命現象で確認されます。当研究室では、そのような生命現象を「系統解析」するための新しいアルゴリズムの開発を行っています。
双曲空間を用いた系統樹の表現学習
系統データを統合する理論およびアルゴリズムの開発
初期発生過程において自然発生的に生じるDNA突然変異の情報を用いて、細胞分裂過程を再構築する研究などを行っています。具体的な研究成果としては、大阪大学大学院生命機能研究科より発表されたプレスリリースを御覧ください。
神経活動データの時系列データに対し、背後に潜むパターンを発見し解析するための機械学習法の研究を行っています。今後は神経活動のみでなく、様々なセンサーを用いた時系列データの解析へも発展させることを予定しています。