建築学部特有の教育文化を生かした学部棟へ。
少し歩けば別の活動に出会い、立ち止まったその場所が自分の活動の場になるような建築。
河本俊登
修士課題
2020.12
建築学部棟の設計。
従来の建築学部棟では、エスキスやお手伝いといった文化的かつ洗練された、建築特有の学習方法が活かされていないのではないか、という疑問があった。この建築学部棟は、それらの学習方法を活かした建築を目指した。
コンセプトは廊下と部屋が曖昧になった空間。
建築学生の振る舞いや、研究室の使われ方、モノの溢れ出し等のリサーチをおこなった。
学生の「壁に成果物を飾る」「自分で居場所を作る」という特性から曖昧な壁に囲まれた空間を作り、断面は研究室の天井にたまった成果物が周囲から見えるようにスキップフロアにしている。
このように人の振る舞いから微細な空間を作り、全体を考えていった。
構造は、壁を垂直方向にずらして成り立たせる。
ファサードは、中の活動がキャンパスにも伝わるように、モーションブラー効果をヒントにした中間領域を作った。
出来上がった建築は、壁とスラブが建物中にパラパラと散らばったような空間で、少し歩けば別の活動に出会い、立ち止まったその場所が自分の活動の場になるような建築。