「再生医療」に合わせた新たな療養施設の提案
影山 巽基
2019年度 卒業設計
2018.12~2019.03
日本建築学会 近畿支部 平成30年度第73回卒業設計コンクール
優秀3作品入選
近畿大学卒業設計展 2019
最優秀賞
Diploma × Kyoto’19
Day1:小室舞 賞
Diploma × Kyoto’19
Day2:総合2位
せんだいデザインリーグ2019
卒業日本一決定戦 100選
理想的な治療が多く発見されながら、医療施設は医療従事者のために完全分業化され、計画の合理性に偏り、大きな変化がないままである。治療が簡易化しながらも長期的な療養と経過観察が必要な「再生医療」に合わせた新たな施設を提案する。
再生医療は従来の医療とは異なるアプローチによる「根治療法」である。難病からの回復など、その汎用性は高い。再生医療による治療が普及化すれば、患者や障害者の生活の質は大きく向上し、これまで難しかった社会復帰と生活自立が可能になる。
現行の再生医療である造血幹細胞移植(骨髄移植)経験者へのヒアリングにより、患者の療養中や退院後の精神状態、現在の治療環境の課題が浮き彫りとなった。
入院中は医療の完全分業体制によるコミュニケーション不足、医療従事者に頼りきった治療体制などが不安や隔離感を生み、さらに再生医療がもたらす退院後の生活は長期的な療養を伴うことで社会復帰が遅れ「生きるリスク」となりうることが明らかとなった。
そこで患者自らが治療を理解・選択し、医師や仲間(患者)と協同して治療に臨める自発的な治療体制を目指し、また、再生医療が生む待機社会復帰者が施設内で活動することで患者同士が助け合う「能動的医療施設」の設計を行った。