Te0.30ReO3という新しいヘキサゴナルブロンズ酸化物を発見しました。初のTeを含むヘキサゴナルブロンズ酸化物になります。赤いReO3結晶から生えるような形で得られました。
Teは酸素に3配位されているという、Teとしても特異な配位構造となっており、電子密度計算からTeには二つのローンペアが存在することが示唆されました。
このTeの配位構造は、無機化学の教科書において分子の形状を議論する際に用いられるVSEPR則(原子価殻電子対反発則)の例としてしばしば挙げられるClF3と同様の配位構造になっています。Trigonal Bipyramidの配位構造において、ローンペアによる静電反発が小さくなるよう、赤道上の2か所をローンペアが占めると解釈されています。
VSEPR則でClF3の構造が説明するのが妥当なのか、また固体中でのローンペアの定義とは何なのか、など色々説明、考察するうちに若干冗長な論文になってしまったような気がしています。
Teはローンペアが二ついるとすれば+2価で無機物質ではかなり珍しいので、この物質を契機にTeの新物質探索が進めばと祈っています。
掲載論文
Rhenium Bronze Oxide Containing Tellurium Ions with Two Lone Pairs
Inorganic Chemistry (2025) published.
エアロゾルデポジション法(AD法)では粉体を基板に衝突させて製膜します。そのプロセス中に発光が生じることが報告されていました。
発光を詳細に解析することで微粒子の破砕に伴う発光(フラクトエミッション)が生じていることを明らかにしました。
また、光っているから高温になって粒子が溶けているのでは、という意見もありましたが、大体室温程度に温度が保たれていることも明らかにしました。
微粒子の運動によって発光が生じること自体は普遍的に起こることですので、AD法に限らず、色んな分野の研究に役立てばと祈っています。
掲載論文
Optical emission generated by particle impact during aerosol deposition of alumina films
Journal of Asian Ceramic Societies 10 (2021) 40.
SrFeO3-δの酸素欠損と仕事関数をレーザー照射による結晶化(光MOD, Metal Organic Decomposition)で制御した研究です。
注目論文として表紙に採択していただきました。
表紙はblenderで作成した3Dグラフィックです。
塗布した有機金属の前駆体がレーザー照射で、還元寄り(絶縁)のFeO4四面体と酸化寄り(金属)のFeO6八面体ができる(二つを分けられる)というものをイメージしています。
掲載論文
CrystEngComm 22 (2020) 4685.