梶田 真生(かじたまさき)
流通科学大学商学部マーケティング学科 専任講師
Email masaki_kajita@red.umds.ac.jp
研究分野
専門はマーケティングと流通で、特に、オンライン・デジタル環境における小売企業のマーケティングや戦略的行動、およびそれらが経営成果に及ぼす影響に興味があります。具体的には、下記のようなトピックに関心があります。
①小売企業のオムニチャネル化
近年、インターネットを利用して商品の販売を行うEC(Erectric Commerce :電子商取引) が急速に普及しました。同時に、従来の店舗による商品の販売に加え、EC でも商品を販売するという複数の販売・コミュニケーションチャネルを持つ小売企業が増加しています。オムニチャネルとは、店舗とECという2つのチャネルを持つ小売企業が、両者を統合的に運用し、消費者の買物経験を最適化したり、事業の効率化を図ったりする戦略です。このオムニチャネルを成功裏に行うために必要な小売企業の資源・能力や、経営環境の条件を研究しています。
②小売ビジネスモデルの変遷
小売業は非常に浮き沈みが激しい業界として知られています。例えば、高度経済成長期の百貨店、1980年代の総合スーパー、近年のECプラットフォーマ―やオムニチャネル小売など、その時代ごとに支配的な小売ビジネスモデルは目まぐるしく変化しています。このような変化を規定する、政治・経済・社会・技術などの外的要因と、小売企業の資源や能力などの内的要因を分析し特定する研究をしています。これを明らかにすることにより、小売業の歴史において重要であった能力の変遷を探り、これからの小売企業が競争優位を築くための示唆を得たいと思っています。
③制度的同型化とDX
差別化が重要だと言われる昨今の競争環境においても、各々の企業の戦略が極めて同質的(=同じような行動)になることがあります。このことを説明する概念が制度的同型化です。例えば、「国や政治が推しているからうちもやろう(強制的同型化)、「他の企業がやっているからうちもやろう(模倣的同型化)」、「専門家や業界団体が推しているからうちもやろう(規範的同型化)」などの同型化のパターンがあります。この制度的同型化の概念を使って、小売企業が、AIマーケティング、拡張現実、マスカスタマイゼーションなどのDX(デジタル・トランスフォーメーション)を採用するかについて研究しています。より具体的には、DXに対する制度的同型化の圧力を企業が知覚した場合に、資源や能力が限られる中小企業や、逆に資源や能力は豊富であるが従来の「成功パターン」から脱却しづらい大企業では、どのように行動が分化するかを研究しています。