#151 アジか金魚か
辞書的意味と百科事典的意味については、以前の記事で、mistletoe(やどりぎ)を例に、日英でどのような知識の差があるのかを画像検索から少し垣間見ました。
野村(2014)では、さらに身近な例として『サザエさん』の歌が取り上げられています。「お魚くわえたどら猫、追っかけて、はだしで駆けてく、陽気なサザエさん」という歌詞を理解するためには、実は多くの背景知識が必要だという指摘です。猫は魚が好物であること、この場合の魚はサンマやイワシ、アジ、サケなど、人が食べる魚である可能性が高いこと。伝統的な日本の家には勝手口があり、開け放しになっていることもあること。サザエさんがはだしなのは、日本では家の中で靴を履かないという習慣があるからだということ。こうした知識が自然と補われて、あの歌詞は理解されています。
これは、辞書に載っている語の意味を一つひとつ足していくだけでは補えない部分がある、という点をとても分かりやすく示している例だと思います。
試しに「猫と魚」を日本語のサイトに限定して、「cat and fish」をアメリカのサイトに限定して検索してみました。日本語の検索結果では、確かにアジやサンマ、サバなど、食べられる魚がバリエーション豊かに含まれており、「くいたい」という表情の猫のイラストも見つかります。
一方、英語のサイトで目立つのは、水槽の中にいる金魚をじっと見つめる猫の姿でした。
参考
野村益寛(2014)『ファンダメンタル認知言語学』ひつじ書房.
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