研究室紹介

「音楽は国境を越える」?「音楽に政治を持ち込むな」?
――政治と文化の接点を歴史的に探る――

  音楽をはじめとする芸術作品は、俗世の社会とは無縁なものなのでしょうか?
私たちが行う文化的実践は、社会状況から遊離した個人的な気晴らしでしかないのでしょうか?

例えば「音楽は国境を越える」とはよく聞くことわざですが、音楽が人と人をつないでいくこともあれば、政治的に利用されたりすることで人々の間に軋轢を生み出すことも少なくはありません。教育現場や公的行事の場での国歌斉唱の是非は度々問題とされており、また2016年のフジロック・フェスティバルを機に「音楽に政治を持ち込むな」という論調が再燃しています。

 しかしながら芸術や文化は、その当時の歴史的文脈、つまりその時々の政治・社会情勢物的条件を抜きにして考えることのできないものです。そしてまた私たちが今享受している文化は、その時々の歴史的状況を生きてきた先人の奮闘のもとに形作られてきたものでもあります。

私の研究室では、人やモノ、環境の関わりのなかで形成された、いわば歴史的状況のなかで立ち現れる「文化現象」や「文化実践」に着目し、それぞれの地域の固有性および普遍的共通性というミクロ/マクロ的視点を併せ持ちつつ、政治と文化の接点を歴史的に考察することを試みます。

「政治と文化の接点を歴史的に考え、今ある社会を問い直す。」
これが私の研究室のテーマです。

ドイツ青年音楽運動のひとコマ

1932年7月17日、ある歌唱サークルの集会で撮影されたひとコマ(ドイツ青年運動史料館未刊行史料より)。リュートを持ち満面の笑みを浮かべている少年少女がとても印象的な写真。この半年後にはドイツでヒトラーが台頭し、第二次世界大戦への途を歩んでいくことを、彼らはまだ知るはずもない。
2022年2月のウクライナ侵攻を受け、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者であるウクライナ系ロシア人ウラディミール・ユロフスキは、演奏予定だったチャイコフスキーの楽曲の代わりにウクライナ国歌を演奏し、「音楽は人と人とを繋ぐためにあるのであって、引き離すためにあるのではない」と語った。

卒業研究テーマ

Coming soon. . .

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