舞鶴高専

物理教育コンテンツ開発グループ

多くの学生が「物理」に苦手意識を持っている

物理を初めて学ぶ学生にとって、物理に登場する基礎概念の習得には高いハードルがあるようです。舞鶴高専においても状況は同じで、多くの学生が苦手意識を持っています。このような背景には、それらの概念が直接目に見えるものではなく、それゆえ直観が働かないことが要因の一つなのではないかと思います。そればかりか、自然と触れ合う中で構築された独自の素朴概念とよばれる自然観が、新しい概念修得の妨げとなっているとも言われています。また、自然を記述する言語としての数学の難解さも高いハードルを形成する一つの要因でしょう。

本グループでは、舞鶴高専生、ひいては物理を学ぶすべての学生にとって、物理を学ぶ際のハードルが少しでも低くなることを目標に、新しい教育コンテンツの開発を行っています。構成員の専門性を発揮し、主に、電磁気分野や波動分野を対象としたコンテンツの開発に取り組んでいます。

学習の手助けとなるコンテンツを開発したい


  • (PCやタブレットなど用いた)デジタルコンテンツの開発

  • (既存または新規の実験器具などを用いた)新しい実験方法の開発

  • 実験器具や実験装置自体の開発

  • 教育手法(講義のやり方、概念の導入方法)の開発


主な取り組み

物理の基礎概念を理解するために用いられる事例や物理モデル(以下、教科書モデル)では、空気抵抗や摩擦などの要素がしばしば無視されており、そのため教科書モデルを現実で再現する際には、教科書モデルでは無視されるそれらの誤差を十分に考慮し、設計する必要があります。本プロジェクトでは、アクチュエータやセンサを用いるRobotic Technologyを用いて、教科書モデルの機械的な再現を行い、力学分野から電磁気学分野までさまざまな物理現象を「可視化」するシステムの開発に取り組んでいます。

(写真)壁にバネやダンパが取り付けられた教科書モデルを、車輪移動ロボットを用いて可視化したシステム。専門科目の補助教材として使用しています。また、製作したシステムをオープンキャンパスで展示しました。

物理学における「波動」は、音波・電磁波・地震波・津波など工学分野で幅広く応用される重要な基礎概念です。しかしながら、数式や図による説明は難解な印象が強く、苦手としている学生がたくさんいます。そこで、本プロジェクトでは、簡易的な実験装置により波動現象を視覚的・直感的に理解できるシステムの開発に取り組んでいます。

(写真)波動実験水槽

(写真)波動実験水槽で発生させた水面波のようす

構成員

  • 若林 勇太(電子制御工学科)Researchmap(グループ代表)

  • 七森 公碩(電気情報工学科)Researchmap

  • 上野 卓也(建設システム工学科)Researchmap

  • 宝利 剛(自然科学部門)Researchmap

  • 上杉 智子(自然科学部門)Researchmap

学外連携研究者

  • 中澤 謙太(静岡大学 工学部 機械工学科)

  • 大竹由記子(富山工業高等専門学校 一般教養科)

獲得資金

2020年度

  • (学内)舞鶴高専 2020年度研究グループ形成支援事業(代表:若林勇太、金額:400千円、期間:2020年10月-2021年3月)

  • (学外)舞鶴文化教育財団 教育研究助成(代表:若林勇太、金額:194千円)

2019年度