殺菌剤ポリオキシン耐性とコロニー赤褐色化メカニズムの解析

Study on the relationships between the polyoxin resistance and the mechanism responsible for reddish-brown colonies in Bipolaris maydis

概要

トウモロコシごま葉枯病菌(Bipolaris maydis)において、殺菌剤ポリオキシン耐性株として分離されたpol2 株は、薬剤耐性に加えてコロニー赤褐色呈色といった多面的な形質を示します。その原因となる変異はヘム合成系遺伝子に見つかっており、pol2 株において特異的に活性化する遺伝子クラスターも特定されています。また、pol2 株をベースとした更なる変異株のスクリーニングから、転写因子をコードするRPR1遺伝子が見出され、RPR1は薬剤耐性と赤褐色化を共通に制御していることも明らかになっています

一方、 RPR1による赤褐色化の原因色素合成に関わる遺伝子クラスターの制御メカニズムや薬剤耐性化との関連性については不明な点が多く、それらを解明することが本テーマの目的です。

真菌類における二次代謝産物の生合成遺伝子に関する制御メカニズムの解明は、新奇な生理作用を持つ化合物の発見に繋がるかもしれません。

関連文献:Gafur et al., 1998, Tanaka et al., 2002, Chen et al., 2018

関連発表:藤林ら,日本農薬学会第47回大会,2022年;藤林ら,第20回糸状菌分子生物学コンファレンス,2021年 ほか