推薦者:渡辺百合(わたなべ ゆり)(カトリック社会問題研究所)
教会と社会
カトリック社会問題研究所40周年記念誌刊行委員会編(2003)『キリストと共にたたかう カトリック社会問題研究所の40年』カトリック社会問題研究所
1963~2002年を、標記の書名で振り返り、社会問題とカトリックが掲げる教説を突き合わせ、読者の考察に供した。10年ごとに区切って「章」とし、創設以来発行され続けている隔月刊誌『福音と社会』(旧『社会関係と人間』)より論考を抜粋し収載した。バチカン・教会・一般社会で起きた主要問題を網羅し、略年表が編まれているので、キリスト者と社会がどのように関わってきたのかを体系的に知ることができる。―①~72年「『働くこと』と『安全保障』の姿を求めて」、②~82年「価値観転換への奔流と平和への合意形成」、③~92年「右肩上がりの繁栄期に問われた私たちの信仰」、④~02年「ポスト『冷戦後』の世界に掲げる普遍の指標」―。また、創立者司祭とその精神を受け継いだ現在の協働司祭からの励まし、所員たちの回想、地域社研の歩み、『福音と社会』総目次/1~206号分)が収載されており、未来に果たすべきキリスト者の新たな役割を模索するヒントを与えてくれる。
カトリック社会問題研究所編集局編(1962)『福音と社会』(隔月刊誌)カトリック社会問題研究所
1962年にパリー外国宣教会のJ・ムルグ神父が創刊して以来、「社会問題を福音の光で読む」をモットーに、信徒有志と協働司祭(現在はO・シェガレ師)により、60年近く発行され続けている。今日の社会問題を福音に照らして考察、分析、解説した論文や会員の研究、霊想、その他内外のキリスト教界に関する情報が収載され、年1度の「社研セミナー」の成果を報告する舞台ともなっている。フランシスコ教皇来日関連では丸ごと1冊の特集が組まれ、講演や「福音の視点」からの講話、参加者の意見・感想、バチカン記者の特別長編寄稿等が収められた。時代の流れに伴って起こる社会問題に深い関心を抱く方々にとって、自論形成の参考として活用されている。