推薦者:桜井健吾(さくらい けんご)(南山大学)
教会と経済
桜井健吾(2019)『労働者の司教ケテラーとその時代 十九世紀ドイツの社会問題とカトリック社会思想』教文館
「労働者の司教」の愛称を持つマインツ司教ケテラーが、産業革命という人類史上未曾有の出来事とそれに伴って生じた社会問題にどう対処したかが詳しく検証されている。ローマ教皇レオ13世はケテラーを社会回勅の先駆者と称える。
野尻武敏(2006)『転換期の政治経済倫理序説 経済社会と自然法』ミネルヴァ書房
現代の政治・経済・社会において宗教と倫理はどのように作用すべきかという問いに対し、さまざまな観点から考察されたカトリック社会科学者の論集である。
フォン・ケテラー, ヴィルヘルム・エマヌエル(2004)『労働者問題とキリスト教』(桜井健吾訳)晃洋書房
「労働者の司教」ケテラーが、19世紀ドイツの労働者の貧困問題を分析し、その対策を提示した1864年の書物の翻訳である。自由主義と社会主義に対抗し、キリスト教の救済策を提出する。
フォン・ケテラー, ヴィルヘルム・エマヌエル(2004)『自由主義、社会主義、キリスト教』(桜井健吾訳)晃洋書房
「労働者の司教」ケテラーが、社会問題と自由について1848年から1875年までに行った説教、講演、挨拶の論集。カトリック社会論の基礎はここに築かれたと言える。
五百旗頭真治郎(2002)『キリスト教所有権思想の研究』南窓社
所有権に関する古代教父以来のキリスト教思想が根底的に解明されている。カトリックには社会思想の長い流れがあることが分かる。