推薦者:小山英之(こやま ひでゆき)(上智大学神学部神学科)
教会と社会
日本カトリック司教協議会・社会司教委員会編(2012)『なぜ教会は社会問題にかかわるのか Q&A』カトリック中央協議会(オンライン版はこちら)
『教会の社会教説綱要』の日本社会への適応版です。「教会が社会問題について発言する最大の根拠は、神の独り子が、限りない愛ゆえに、人類を罪と死から解放するため同じ人間となり、徹底して人々とともに生き、とくに死と復活によって人間に神とのつながりを取り戻させてくださったという事実にあります」と述べた上で、日本のさまざまな社会問題をQのかたちで提示し、それに答えています。
絶版になっていますが、カトリック中央協議会のホームページからダウンロードできます。
教会と戦争
小山英之、横山正樹、平井朗編(2020)『平和学のいまー地球・自分・未来をつなぐ見取図」法律文化社(下記「教会と環境」にも紹介文あり)
「第12章 北アイルランド紛争と平和構築」は、北アイルランドの和平に決定的な役割を果たしたAlec Reid神父の働きを記述しており、彼についての本、Martin McKeever著『One Man, One God-The Peace Ministry of Fr Alec Reid』(Dublin: Redemptorist Communications, 2017)が日本では入手困難なこともあり、 必読の論文である。
谷山博史編著(2015)『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!』合同出版
2019年にアフガニスタンで殺害された中村哲氏の生涯と考え合わせて読むべき必読書。
松元雅和(2013)『平和主義とは何か』中央公論社
教会の平和論というわけではないが、平和主義とは何かを簡潔に総括した名著。
教皇庁正義と平和評議会(2009)『教会の社会教説綱要』(「第11章 平和の促進」)カトリック中央協議会
回勅『パーチェム・イン・テリス』(1963年)、『第二バチカン公会議 現代世界憲章』(1965年)「第5章 平和の推進と諸民族の共同体の促進」とそれ以降、2005年までの教会の平和についての考え方をまとめた本の1つの章。それ以降の教会の平和についての考え方の進展は、諸教皇の毎年1月1日の世界平和の日メッセージ、教皇フランシスコ訪日講話集『すべてのいのちを守るため』(2020年)、回勅『FRATELLI TUTTI on fraternity and social friendship』(2021年)を参照のこと。
ホアン・マシア(2005)『暴力と宗教』オリエンス宗教研究所
暴力と宗教の歴史と本質をわかりやすく記述し、宗教の名による暴力の連鎖を断ち切り、和解と共生への道を探る名著
教会と環境
横山正樹・平井朗・小山英之編(2020)『平和学のいま 地球・自分・未来をつなぐ見取図』法律文化社(上記「教会と戦争」にも紹介文あり)
私が編集者の一人を務めた本です。回勅『ラウダート・シ』と合わせてお読みください。「平和」はヘブライ語でシャロームで、戦争のない状態だけを意味するのではなく、無欠、欠けたところにない、平和の包括的な意味を表しています。環境問題は、今日の平和学の最重要課題です。
教皇フランシスコ(2016)『回勅ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』(瀬本正之・吉川まみ共訳)カトリック中央協議会(英語版はこちら)
環境保護のための必読書。