推薦者:久保文彦(くぼ ふみひこ)(上智大学神学部)
教会と環境
教皇フランシスコ(2016)『回勅ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』(瀬本正之・吉川まみ共訳)カトリック中央協議会(英語版はこちら)
エコロジーに関する現代カトリック教会の立場を解説した文書です。タイトルの「ラウダート・シ」は、アシジの聖フランシスコが書いた「兄弟なる太陽の賛歌」の一節から取られています。地球環境危機の時代におけるキリスト教会の役割を考えるうえで、本書は最もよい参考文献となります。
日本カトリック司教協議会『今こそ原発の廃止を』編纂委員会編(2016)『今こそ原発の廃止を―日本のカトリック教会の問いかけ』カトリック中央協議会(英語版はこちら)
福島第一原発事故後、日本のカトリック教会の司教団は「今こそ原発の廃止を」というメッセージを公開しました。本書は、そのメッセージの解説書として公刊されました。原発事故への反省と共に、原発問題、エネルギー問題、環境問題に対する日本カトリック教会の見解が要約されています。
教会と共生(ともに生きるためのヒント)
伊能哲大(2019)『現代に挑戦するフランシスコ』オリエンス宗教研究所
アシジの聖フランシスコ(1182-1226年)の行動と思想を紹介し、現代社会にとっての意義を解説した良書です。著者は、フランシスコ研究で知られる教会史家。一般読書人向けに、分かりやすく書かれています。イエズス会士のベルゴリオ枢機卿が教皇に選出された時に、選んだ教皇名が「イグナチオ」ではなく、「フランシスコ」だった理由が、本書を読むとよく理解できます。(書評を書きました。『カトリック研究』89号、2020年、196-204頁。)