教授会ブログ 英語編
教授会講師によるブログ
難関大学・医学部対策について書いていきます。
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「よく医学部対策と言うけど,医学部(ここでは私立医大,国公立の単科医大)の入試英語は,一般の大学の入試英語と何が違うの?」
これは割とよく聞かれる質問です。医学部を受けない生徒,同業者(英語の先生),場合によっては教育に関与していない人からも興味本位で質問されます。
誰もが思いつく答えは,「必要とされる語彙」でしょう。医学部の入試だけあって,医療関係の英文は多く目につきます。当然,そういった文章には一般大学の受験生であれば重要視しない医療関係の用語も含まれます。一般の大学入試の水準では超難語(=覚える必要のないもの)に分類されるものもあります。さらに,大学によってはそういった語に語句注がつかない場合さえあります。
「じゃあ,医学関係の用語を何語覚えればいいの?」
理想を言えば,可能な限りです。語彙力はあるに越したことはありません。そうは言っても,限界はありますよね。英語だけ勉強していれば良い訳ではないのですから。とりあえず最初のハードルとして,受験生としての一般的語彙力に加え,最低ラインとして200語程度の「医学部入試用語彙」を上乗せする,と考えておきましょう。
「じゃあ,その200語って何?」
うーん,口にした以上,説明責任はありますね。じゃあ,小出しにして教えましょう。次の英文を読んでください。
Measles outbreaks are now flaring across multiple U.S. states, and this week Texas public health officials announced that a second child has died of lung failure caused by the highly contagious viral disease. This eight-year-old had no underlying health conditions and had not received vaccination against measles, mumps and rubella (MMR)—the primary, most effective tool to prevent infection.
https://www.scientificamerican.com/article/measles-outbreak-in-u-s-may-undo-formal-elimination-status/
引用したのは最初のパラグラフだけですが,入試で出てきそうな英文ですよね。授業で扱うならこれだけで色々と語れますが,ここでは語彙に絞って説明しましょう。
lungを青字にしておきましたが,今回のテーマは臓器。lungは「肺」。他にも内蔵の名前は覚えておいた方がいいですね。
lung (肺),heart(心臓),腎臓(kidney)
stomach(胃),腸(the intestines, the bowels),liver (肝臓),pancreas(すい臓)
とりあえず,このあたりの単語から語彙構築を始めると良いでしょう。その他,「食道」「胆嚢」,腸をもっと細かく分けて「小腸」「直腸」とかも気になりますか?いやいや,細かい語彙に走る前にもっと重要なことがありますよ。
「heart(心臓)に対して,『心臓の』という形容詞形は?」
「lung(肺)に対して,『肺の』という形容詞は?」
これらの方が重要。
「心臓の」cardiac → cardiac arrest「心停止」 cardiac massage「心臓マッサージ」
「肺の」pulmonary → pulmonary artery[vein]「肺動脈[静脈]」
まずは,このあたりからスタートすることにしましょう。続く。
前回の続き。同じ文章を再掲します。
Measles outbreaks are now flaring across multiple U.S. states, and this week Texas public health officials announced that a second child has died of lung failure caused by the highly contagious viral disease. This eight-year-old had no underlying health conditions and had not received vaccination against measles, mumps and rubella (MMR)—the primary, most effective tool to prevent infection.
https://www.scientificamerican.com/article/measles-outbreak-in-u-s-may-undo-formal-elimination-status/
青い字の部分に注目。measles, mumps, rubellaは何のことか分かりますか。順に「はしか」「おたふくかぜ」「風疹」です。よく聞く病名は覚えておいた方がいいですね。病名は星の数ほどあるので,独断で絞り込みましょう。基準は「(筆者が)入試英文で見たぞ」という記憶があるものです。
癌
cancer(癌), lung cancer(肺癌), pancreas cancer(すい臓癌), breast cancer (乳癌)
呼吸器関連
pneumonia (肺炎),asthma(喘息), TB(結核→正式にはtuberculosisだが,略語のTBが使われることが多い)
脳・神経関連
stroke(脳卒中), celebral infarction(脳梗塞), Alzheimer disease(アルツハイマー病→「認知症」の意味ではdimentiaの方が良く見るかも), amnesia(記憶障害)
循環器関連
diabetes(糖尿病)
血液関連
anemia(貧血), leukemia(白血病)
歯関連
cavity(虫歯), gum disease(歯周病)
さて,ここまで読んで勘の良い方はこう思ったことでしょう。
「この文章の主題であるmeasles(はしか)はどこへ行ったんだよ?」
はい,measlesは「感染症」に分類されます。重要なカテゴリーです。次回。
また同じ文章を再掲。
Measles outbreaks are now flaring across multiple U.S. states, and this week Texas public health officials announced that a second child has died of lung failure caused by the highly contagious viral disease. This eight-year-old had no underlying health conditions and had not received vaccination against measles, mumps and rubella (MMR)—the primary, most effective tool to prevent infection.
https://www.scientificamerican.com/article/measles-outbreak-in-u-s-may-undo-formal-elimination-status/
measles(はしか), mumps(おたふくかぜ), rubella(風疹)はinfectious disease(感染症)です。文中のMMRとは,この3つの病気を予防する混合ワクチンのことです。3つの病気の頭文字をとっています。
infectious disease(感染症)とは寄生虫・細菌・真菌・ウイルスなどの病原体の感染により宿主に生じる病気の総称です。measles, mumps, rubellaはvirus(ウイルス)が身体に入り込むことによって感染します。文中にはvirusという語は出てきませんが,派生語があることに気づきましたか?そう,viral(ウイルスの, ウイルスによって起こる)です。前回,heart→cardiac, lung→pulmonaryと名詞と形容詞の関係について例をあげましたが,名詞を覚えたら形容詞形を意識するのが語彙増強のコツです。
そして,感染症と来たらほほ必ず出てくる語が,infection(感染)。形容詞形のinfectiousも覚えましょう。ところで,contagiousという単語が出てきますね。ここではinfectiousとほぼ同じ意味で使われています。名詞形はcontagionで厳密には「接触性感染」の意味なのですが,上記文章のようにcontagiousとinfectiousは意味を区別しないで使われることが多いようです。なお,「伝染力が強い」という表現は本文にあるようにhighly contagiousあるいはhighly infectiousと言います。英作文で役に立つかもしれません。
まだまだ,あります。感染症と来たら,outbreak(突然の大流行)も重要語。そうそう,covid-17のoutbreakは記憶に新しいところですが,パンデミック(pandemic)という言葉を良く耳にしませんでしたか?endemic, epidemic, pandemicと3つセットにして覚えます。いずれも,「<伝染病が>流行している」という意味ですが,流行の範囲で区別します。
endemic → 流行が局地的である場合
epidemic → epidemicよりは範囲が広い
pandemic → 多国間に広がってする
covid-17はpandemicだったわけです。
はい,最後。vaccinationは「予防接種」。vaccine(ワクチン)→vaccinate(〜に予防接種する)→vaccinationと派生。vaccinateは通例be vaccinatedと受け身の形で,be vaccinated against 〜で「〜の予防接種を受ける」の意味で使われるのが普通。be vaccinated against fluなら「インフルエンザの予防接種を受ける」。文中でもvaccination against 〜となっていますが,「〜の[〜に対する]予防接種」という意味になります。この前置詞againstにも注意。toやforではありません。
今回はとりあえず,ここまで。まだ,続きます。
またまた,同じ文章を再掲。
Measles outbreaks are now flaring across multiple U.S. states, and this week Texas public health officials announced that a second child has died of lung failure caused by the highly contagious viral disease. This eight-year-old had no underlying health conditions and had not received vaccination against measles, mumps and rubella (MMR)—the primary, most effective tool to prevent infection.
https://www.scientificamerican.com/article/measles-outbreak-in-u-s-may-undo-formal-elimination-status/
まず,青字部分から。
die of 〜は「〜で死ぬ」。die from 〜も「〜で死ぬ」という意味ですが,病気などの内因の場合は,die of 〜,怪我や事故などの外因の場合にはdie from 〜という使い分けが一応あります。実際,この区別をしていない英文も見かけますが,受験生の皆さんは区別をしてください。
lung failureは「肺不全」。heart failureなら「心不全」。
underlying health conditionは「基礎疾患」。underlyingは「下にある」というのが本義で,転じて「潜在的な,根底にある」という意味で使われます。
次に赤い字。テーマの語彙力からは離れますが,ちょっと面白いなと思ったので。a second childの意味は分かりますか?
①「the second childじゃないの?序数の前はaじゃなくてtheでしょ?」
②「a second = one second = 2分の1という意味?」
あなたの抱いた疑問が①②のどちらでも,よく勉強していると思います。
②から説明しておきましょう。分数は「数詞+序数」で表されます。「3分の1」ならone third, 「3分の2」ならtwo thirds。分子が2以上なら,序数の部分は複数形のsがつきます。「3分の2」は「3分の1」が2つ(複数)あるという考え方です。分詞がoneの場合,不定冠詞のaに置きかえることができます。one second = a secondですから,②の考え方は半分は筋が通っています。しかし,「複数いる子供のうちの半数」ということなら,a second childrenとなるはずです。でも,ここでは単数形のchildですから,a secondを「2分の1」の意味でとると,「半分に切った子供」ということになってしまいます。あらら・・・あまり想像したくありませんね。
①の方ですが,「序数の前にはtheがつく」というのは,まあ正しい。ただし,「序数をつけることによって,その名詞が誰か/どれか特定されるのであれば」という条件付きです。
the first man to walk on the moon (月面を最初に歩いた人)
the second man to walk on the moon (月面を2番目に歩いた人)
上の例の場合,それぞれ誰か特定できます。最初がニール・アームストロング,2番目がブズ・オルドリンです。
しかし,冒頭の文章だとsecond childは「誰なのか」を特定できない(あるいは特定する意図はない,特定する必要もない)わけです。このような場合,序数の前であっても不定冠詞のaがつきます。
よく「セカンドオピニオン」って言いますよね。医療の世界では,「患者が現在受診している主治医以外の医師による診断・治療法に関する意見」のことです。英語での文例をあげましょう。英語圏の病院のウェブサイトで見つけた文です。
You can ask for a second opinion anytime during your diagnosis or treatment.
「診断中,治療中のいつであっても,セカンドオピニオンを求めることができます」
セカンドオピニオンの内容は分からない→特定できない→序数の前でもaがつく,ということです。
a second childは「(誰かと特定はしないが)2番目の子供」ということです。他の単語で置きかえるなら,anotherということになるでしょうか。
この文章については,今回で最後です。最後に全訳をつけておきます。
「はしか(麻疹)の流行は現在,米国の複数の州にまたがって再燃しており,今週,テキサス州の公衆衛生当局は,この感染力の強いウイルス性疾患による肺不全で2人目の子供が死亡したと発表した。この8歳児には基礎疾患はなく,感染予防に重要かつ最も効果的な手段である,麻疹,おたふくかぜ,風疹(MMR)の予防接種を受けていなかった。」
今後も医療分野のみならず,生物学系などの語彙を扱っていきたいと思います。