Research

島嶼におけるイノシシ

日本の多くの島嶼部には1980年代からイノシシが侵入し始めました。農業被害や人身被害も深刻な島もあります。現在、兵庫の島を中心に生息密度や生態系に与えるインパクトを調査研究しています。

分布拡大するアライグマが生態系に与えるインパクト

 外来生物は、農作物被害、病原体 の媒介、生態系の撹乱等さまざまな 問題を引き起こしています。特に、食物連鎖の上位に位置する外来の哺 乳類アライグマは、捕食者として在 来生態系に深刻な影響を与えている といわれています。しかし、どの程 度在来生態系に影響があるのかは実は定量的に明らかにはされていませ ん。現在は、里山生態系において食物連鎖の中位に存在 し、農業害虫などを餌として食べてくれる両生類を対象に、アライグマからの影響評価を行ってい ます。将来的には様々な分類群へ対象を広げ、外来哺乳類の在来生態系へのインパクトを明らかにしていくつもりです。

動画をyoutubeにアップしています→リンク

トカゲの捕食者に応じた体色の進化

 トカゲは捕食者から襲われたときに、再生可能な尾を切って逃げます。この形質は複数の系統で出現し、捕食者の注意を引き付けるために、胴体よりも派手な青色を進化させたからだと考えられています。胴体のストライプ模様も複数の系統でみられ、隠ぺい色と考えられています。これまでに、ストライプ模様と青い尾の至近要因(皮膚の色素細胞の構造と胚発生中の形成過程)と究極要因(捕食者の色覚との関係)を、異なる色覚をもつ捕食者(イタチ、シマヘビ、鳥類)に対応した変異をもつ伊豆半島と伊豆諸島のオカダトカゲを対象にした研究してきました。

(Kuriyama et al., 2006, 2016; Kuriyama and Hasegawa 2017など)

爬虫類・両生類の体色と色素細胞

 爬虫類・両生類は皮膚にある3-4種類の色素細胞で体色を出しています。これまでにカナヘビ類の系統に見られる茶色と緑色の体色の色素細胞(Kuriyama et al 2017)や、シマヘビの胚発生から成長して縞模様を出すまでの観察(Kuriyama et al, 2013; Murakami et al., 2014. 2016. 2018)など解明してきました。

 イクチオサウルスやウミガメ類などの絶滅種の化石から色素細胞を同定し、体色復元も行っています。(Lindgren et al 2017, 2018)

シマヘビの胚

シマヘビの胚

サキシマカナヘビの皮膚の拡大写真