このページは雑感を記したページです。取り止めはありませんが、人となりや考え方を感じていただけることを目的にしています。
やや専門的な語彙も含んでいるので、学生さんはざっくりとした内容を掴んで読んでくだされば幸いです。
・美味しいものを食べる
訪れる難易度が高い国の料理屋さんに行くのが好きです。
白身魚が特に好きです。関西だと鱧や鰆に目がないです。
お酒はビール、ワイン、日本酒などは比較的頻繁に、焼酎はたまに、ウイスキーやジンはもっとたまに嗜みます。
カリフォルニアワインのRidgeが好きです。最近は樽香の聞いたシャルドネが好きです。赤ワインはシルキーなものを好みます。
チョコレートはMeiji THE Cacao、Neuhaus。
・旅行
長大橋 (明石海峡大橋、しまなみ海道 (多々羅大橋、瀬戸大橋、なみはや大橋、灘大橋、若戸大橋などなど) 巡り
フェリー旅 (門司、愛媛、高松)
・写真
最近GR IVを買いました。IIIからの買い替えです。
・アニメ
超かぐや姫!がめっちゃ良かったです!
今季は天スラ、本好きの下剋上、あかね噺、左ききのエレンが楽しみです。
・映画
ウィンストン・チャーチル
ダンケルク
・ドラマ
Dr.倫太郎 (堺雅人さんの柔和な演技が好きです。配信がないのが悲しい)
テミスの不確かな法廷 (2025.1–のNHKドラマ)
・特技
Google Mapsでハズレを引かず、美味しいお店を見つけること。
・人生訓
困難は分割せよ (デカルト)
自信と勇気と覚悟 (漫画・アニメ メダリスト)
Le hasard ne favorise que les esprits préparés (幸運は用意された心のみに宿る。Louis Pasteur)
エレガントにパワープレイ
こちらも専門的なので、流し読みをしていただければ幸いです。
私の出身はいわゆる「農芸化学」という分野です。正式な定義のようなものは他にあるのでしょうけれど、私が所属していた時の教員が言っていたのは、「農芸化学というのは広い分野を統合するが、要はモノ (分子) を取ってきて調べる」ということでした。そうなんです、農芸化学は、生化学、分子生物学、有機化学、微生物学、物理化学、分析化学など広い分野を横断するのですが、その精神としては現象を分子にまで分解して (そして再統合して) 理解するというものでした。これは思想的にはニュートラルで、私の研究観の基礎の一つになっていると言えます。
一方で、修士で一時期所属していた生命科学というのは、新しくそして若干不思議な精神を持つ学問です。生命科学は、無意識のうちに「生命の普遍性」を追いかけていることが多いと思います (個人の意見です)。そして、その生命の普遍性の追求は効果的に絶大な分野の進展をもたらしてきました。動物で見つかった現象に対応する原因分子が、植物でも同様の現象、もしくは異なるけれど同型の現象を引き起こしていることが多々あるためです。これは「わかりやすく」分野の発展に寄与してきました。生命科学の出身の方には、アーキアやバクテリアはどうかは知らないが、酵母やヒト、植物くらいまでならその根幹となるシステムは共通している、という肌感と信念があっても不思議ではありません。
ここで、一つ例に挙げたい生物がいます。渦鞭毛藻です。渦鞭毛藻は真核生物でありながら、ヒストンを持ちません。染色体を構成するクロマチン構造を取るのに、生命科学ではあたかも必須であるかのように教科書に書かれているヒストンがないのです。また、渦鞭毛藻は、真核生物でありながらポリシストロニックな転写・翻訳を行います。遺伝子間にはリンカー配列が存在しており、転写・翻訳したのちに切断されて、matureなタンパク質となるのです。こういった発現様式は渦鞭毛藻の他にもユーグレナにも存在しています。では、これらは真核生物ではない、もしくは例外である、のでしょうか。いえ確かに真核生物なのです。「生命の樹」を見てみましょう。最新の生命の樹はBurkiさんたちのHPにあるものを見るのが良いかと思います。見ていただくとわかるのは、生命科学が「モデル」としているのは極々一部の系統であり、世界には無数のProtists (原生生物、個人的にはもっといい名前はないものかと思っていますが) と呼ばれる生物系統があるということです。そして、そのProtistsの中には、たくさんの光合成をする系統が「散らばっている」ということです。この散らばっているということが重要で、光合成の成立が一回で、それが垂直に (親から子へ) 伝播しただけなら、こうしたことにはならないはずです。(正確には他の系統で光合成を喪失した、というストーリーは考えうるのですが今回はこれは真ではないので省きます。) つまり、光合成の伝播には、垂直伝播だけでなく「水平」な伝播があるということなのです。そしてこの「水平」な伝播の正体が、「細胞内共生」とそれに続く「オルガネラ化」なのです。真核生物の様々な系統に散らばっている真核藻類は、その発現様式や代謝経路、光合成の特徴に至るまで、いわゆる (シロイヌナズナやクラミドモナスのような) モデル生物の常識は通用しないことが多々あります。生命科学の精神では解けない問いがそこにはあります。
分子を基軸におく生物学の中でも、普遍性を基軸に学問を展開・駆動する生命科学と対照的なもう一つの学問概念・思想が、多様性を基軸に置いた見方です。これに「生命科学」にあたる名前がついているのかは知りません。「進化」を研究タイトルなどに入れている方がこうした見方をしている場合が多いようです。この学問精神に名前はなくとも、その駆動する現象は皆さん知っているはずです。そう、収斂進化です。ある環境が存在する場合に、その環境に適応した表現型は往々にして非常によく似通っている、という現象です。よく知られているのは、ペンギンやダチョウ、鳥とコウモリ、イルカと魚と魚竜、でしょうか。そしてこの収斂進化は、体全体の機能や形態だけでなく、分子レベルにも存在します。しかし、この分子レベルの収斂進化を扱う例は、どのような遺伝子群を利用するかに傾向がある、という視点で語られることはあっても、分子機能自体の収斂というのはまだそれほど多くありません。有名な例としては、光合成電子伝達鎖の下流で、光化学系Iから電子を受け取りFNRでNADP+をNADPHに還元する還元力を供給するフェレドキシンは鉄を補因子とする電子伝導タンパク質ですが、シアノバクテリアなどでは鉄欠乏環境で、機能的に相同で補因子がFMN (フラビン) であるフラボドキシンがその代わりを務めます。
こうした現象の語彙はevo-devo (や比較ゲノミクス) が牽引し、整備してきました。例えば、ある機能を持った遺伝子が、遺伝子重複によってその後に別の機能を獲得することはco-option (転用) と呼ばれています。しかし、全く異なる起源の分子が同じ機能を持つようになる現象は「収斂進化」としか呼ばれていません。実際にはco-optionと分子の収斂進化は連続的な現象、もしくは、裏表の関係にある現象のはずです。ここで一つ述べておきたいのは、こういった現象が起こりやすいのかどうかというのは、evo-devoによってevoluvabilityという概念で導入されています。これは、evo-devoの観点ではそれほど広い意味ではありませんが、分子も収斂し転用されることを考えれば、本来的には非常に広い概念になりうる言葉であると言えます。
実際に私はこうした考え方のもとで、研究を進めてきました。光を効率的に捕集する光捕集タンパク質複合体LHCは、何分子 (というより複合体なのでユニットというべきかもしれませんが) も光化学系に結合しています。この結合様式は細胞内共生やゲノム縮退などの大規模なゲノム撹乱の影響で変化します。その変化のあり方を複合体の立体構造解析と構成するLHCの分子系統解析で進化の過程を追うと、遺伝子の重複と続く変異によって、もしくは同じオルソログ遺伝子のタンパク質でありながら、別の場所にも結合するようになった例を見出すことになりました。そこで、私たちは、co-optionの拡張概念で、「Neolocalization <遺伝子の重複や適応進化でタンパク質複合体の別の位置にも結合するようなco-optionalな進化>」という概念を提唱しました (Kato, Kumazawa et al., PNAS, 2024; Kumazawa and ifuku., iScience, 2024)。LHC、特に光化学系Iに結合するLHCIに関しては、結合する色素の変化で吸収する波長は変わっても、結合する位置ではそれほど波長には大きな変化はありません。ただ、光によって生じた励起エネルギー移動の経路は異なるので、厳密には全く同じというわけではないものの、基本的にその機能は「集光」です。そのため、co-optionの定義する「異なる機能」には該当しないので、今回は拡張概念としてNeolocalizationという概念を提唱することになりました。励起エネルギー移動経路の変化が「適応的」かを調べるのも面白そうですね。
以上の経緯で、現在、私は「Projects」に書いたように、藻類・真核生物の大系統を俯瞰して、分子の視点に立脚した上で、光合成の進化を明らかにしようとしています。具体的には、「Project 1: 藻類の大進化の過程で生じたLHCの再編成を明らかにする」でハプト藻のPS–LHCの進化過程を、「Project 2: 特定の海洋に適応したLHCの特徴を構造と分光、分子系統から解明する」で、ここでは書けませんが複数の系統の藻類の適応的なLHCの進化を調べています。
一緒に研究したい方、興味を持ってくださった方はお気軽にメールをください。