2017年1月26日、大阪朝鮮学園が大阪府と大阪市を相手取り、補助金不交付処分の取消し等などを求めた裁判において、大阪地裁が原告の訴えを全て却下、棄却する判決を言い渡しました。この判決の結果が、昨年3月29日の文部科学大臣通知「朝鮮学校に係る補助金に関する留意点について」を受けて朝鮮学校への補助金支給継続について動揺している地方公共団体に波及することが極めて憂慮されます。
わたしたちは、昨年3月の文部科学大臣通知を受けて、2016年5月に「朝鮮学校への地方公共団体の補助金に対する政府の不当な介入に抗議する研究者有志の声明」を発表し、882人の賛同者名簿とともに文部科学省に提出しました(最終的に929人が賛同)。
さらにその前には、関西圏の大学関係者で、今回の裁判の原因となった2011年3月の補助金不交付処分に際し、「大阪府外国人学校振興補助金等の朝鮮学校への速やかな支給を求める大学関係者の要請書」への賛同を呼びかけ、短期間で357名の賛同を集め、大阪府に提出しました。
今回の不当判決に対しても、すでにさまざまな立場からの抗議の声があがっていますが、わたしたちも以上のような過去の取り組みを踏まえ、研究者という立場からふたたび抗議声明を発表します。
補助金は地方公共団体の責任と判断で実施されていますので、地域単位で補助金の維持・充実または再開を求めていく取り組みが重要であると同時に、子どもたちの平等な教育環境を守るためには地域を越えて抗議の声をつないでいくことが必要です。その際、各地で教育研究活動をおこないながら、日本全国さらには海外に広がるネットワークを持っている研究者のポジションを生かしていこうという趣旨で、文部科学大臣通知への抗議声明の時と同様に、各自が活動する地域を明らかにしたうえで呼びかけ、賛同を募るという方式を採ることにしました。
これまで朝鮮学校と関わる機会があまりなかった研究者も含めて、この機会に、レイシズムに抗し、民族教育の権利を保障するために、ともに声をあげていただけたら幸いです。