元木 康介 研究会
2026年度から慶應義塾大学商学部で新設された研究会です
「消費者行動 × 心理学」をテーマに掲げ、五感や食に関わる現象を主な対象として、消費者の心を実証的に解明します
2026年度から慶應義塾大学商学部で新設された研究会です
「消費者行動 × 心理学」をテーマに掲げ、五感や食に関わる現象を主な対象として、消費者の心を実証的に解明します
フィールド:商業学
研究分野: 消費者心理学、感覚マーケティング、食品消費・食行動
募集人数:10名程度
研究会パンフレット:ここから見れます。消費者心理学、感覚マーケティング、食品消費・食行動についての簡単な説明やキーワードも載せています。
全体説明会スライド:ここから見れます。本ページの内容がスライド形式で確認できます。
研究会の進め方:ゼミ生の発表+ディスカッションが基本構成になります。ゼミ時間外にも相応の時間を要します(ゼミで扱う論文の読解、事前レポートの作成、発表準備、グループ発表の打ち合わせ、グループ研究準備などなど)。そのため、ゼミ活動に優先的に時間を割り当てられることが前提となります。グループでの取り組みが多いため、他のゼミ生と時間を調整しながら活動できることも重要です。
本ゼミ(月4限・5限):2026年度は月曜4限のみ。2027年度からは、4限(3年生)・5限(4年生)の2コマ体制となり(月3限・4限本ゼミ、5限サブゼミにするかもしれません)、両学年が相互に参加して学び合う形式を予定しています。
サブゼミ:本ゼミだけでは学習時間が不足するため、補助的な位置づけとしてサブゼミを設けます。2026年度は3年生のみのため、月曜5限をサブゼミとし、本ゼミと時間的に連続させて実質2コマで一体的に進めていく予定です。サブゼミの内容は、受講者の関心や必要性に応じて柔軟に決定します。たとえば、英語実証論文を扱う前段階として日本語の実証論文を読む、研究テーマに関連する専門書を輪読する、統計解析ソフトの使用方法を学ぶ、といった活動を想定しています。
1期生
猪狩竜之介
石川玲名
岩重百香
大東美月
亀田向日葵
桑野直人
小林史奈
佐藤菜智
末利愛恋
中山巧稀
横田遥己
吉野碧音
消費者心理学研究方法論・心理データ分析
消費者心理学の研究は、心理学の研究方法論と心理データ分析(心理統計解析)を基礎として成り立っています。そこで、消費者心理学の研究を進める上で不可欠な、基礎的な研究方法およびデータ分析のスキルを身につけます。進め方としては、発表担当者が心理学研究方法論や心理データ分析に関するテキストの指定箇所をプレゼンテーションし、消費者心理に関連するケースのディスカッションや、実データを用いた分析演習を行います。研究方法論では、消費者心理学で広く用いられている実験法を中心に、研究デザインの考え方や手順を学びます。 統計解析ソフトは、まずは全員で扱いやすい心理学研究に適した HADから始め、プログラミングが得意な人はRへ移行するという形を考えています(担当教員はRを使用)。テキストは、刊行予定である書籍の草稿を読みます。
元木康介・井関紗代 (編) (刊行予定)『消費者心理学研究法(仮題)』千倉書房.
英語論文輪読
消費者心理学、感覚マーケティング、食品消費/食行動に関する英語実証論文を輪読します。担当グループが論文内容を整理し、プレゼンテーション資料を作成・発表します。発表後は、論文の理論的背景・方法・結果・示唆などについてディスカッションを行います。また、発表グループ以外のメンバーにも、論文内容についての事前レポート(論文の要約・良い点・改善できる点・今後の方向性などをまとめたもの)を提出してもらいます。翻訳ツールが発達しているため、英語論文を読むことのハードルはかつてほど高くありません。となると、最先端の知識を得るためには英語論文を読んだ方がいいです。内容的にも、英語論文の方がより興味深いテーマを扱っていることが多いです。対象となる英語論文は、例えば以下のようなものです。実際に読む論文はみなさんの関心に応じて相談して決めます。
Hampton & Hildebrand. (2025). Haptic Rewards: How Mobile Vibrations Shape Reward Response and Consumer Choice. Journal of Consumer Research.
Ketron et al. (2025). Color Saturation and Perceived Sensory Intensity: An Account of Psychological Proximity. Psychology & Marketing.
Califano & Spence. (2024). Assessing the visual appeal of real/AI-generated food images. Food Quality and Preference.
Weijers et al. (2024). Nudging towards sustainable dining: Exploring menu nudges to promote vegetarian meal choices in restaurants. Appetite.
英語実証研究の日本版プロジェクト(グループ研究)
グループごとに関心のある英語実証論文を選び、その研究で行われた手続きを参考にして、日本の文脈で実際に消費者心理学実験を行います。実験素材の作成(商品画像・広告画像など)からデータ収集・分析・結果解釈までの一連の研究プロセスを体験します。英語実証論文の多くは海外で実施されているため、日本の文化的背景や消費者特性を踏まえて、研究手続きの調整や拡張も行います。これにより、単なる追試ではなく、自分たちなりの問いを加えた発展的研究として実践することを目指します。また、近年の英語実証研究ではデータが公開されているケースも多く、それらを用いた再分析にも取り組みます。
オリジナル研究プロジェクト(グループ研究)
研究関心が近いメンバー同士でグループを組み、各自の関心に基づいてグループ研究を行います。研究テーマは、消費者心理学・感覚マーケティング・食品消費/食行動に関連するものであれば自由に設定できます。このプロジェクトでは、関連する先行研究を踏まえたうえで、独自のリサーチクエスチョンを立て、自主的に研究を進めてもらいます。概念モデルの作成や仮説の導出も自分たちで行い、その上でデータ収集・分析・結果の解釈を行います。得られた成果は三田論として取りまとめます。
学会発表・消費者心理インゼミ研究報告会
グループ研究をただ行うだけではなく、研究成果発表の場として、学会発表・インゼミでの合同研究報告会を行う予定です。まず、「英語実証研究の日本版プロジェクト」については、マーケティング学会(マーケティングカンファレンス; 10月)でのポスター発表を予定しています。続いて、「オリジナル研究プロジェクト」については、消費者心理インゼミ研究報告会での研究発表を計画しています。
早稲田大学須永ゼミ・学習院大学井関ゼミという消費者心理学を専攻する研究会と合同研究報告を行う予定です(12月)。また、認知心理学会(消費者行動研究部会)のワークショップでも、インゼミのポスター合同研究報告会を企画中です(12月)。このような学会発表や合同研究報告会を通して、他大学との交流を深めながら、研究をわかりやすく伝えるプレゼンテーション力や、質問に的確に対応する論理的思考力・応答力を養います。
卒業論文
4年次では、卒業研究として個人で研究活動に取り組みます。感覚マーケティングや食品消費/食行動に関わるテーマだけでなく、消費者心理学研究であれば、関心のあるテーマに自由かつ主体的に取り組むことができます。これまでに身につけた知識とスキルの集大成として、厳密な論理構成と適切な研究手続きに基づいた卒業論文を作成してもらいます。卒業論文は日本語・英語いずれの言語でも執筆可能です。前々職(宮城大学)および前職(東大院)では、卒業論文や修士論文を基にした研究が査読付き英語論文として複数発表されています(本ページ下部参照)。卒業研究としても、このレベルに到達することは十分に可能です。
冒頭ミニプレゼン(案)
ゼミの冒頭に、消費者心理・感覚マーケティング・食に関する最近の話題・ニュースについて、ミニプレゼンをしてもらうのも面白そうかなと思っています。たとえば、担当ゼミ生は自分が関心を持ったテーマ(「電気味覚による減塩サポート食器」、「大阪万博で培養肉ミャクミャク」、「緩和ケア患者にガリガリ君で食の喜び」、「動画生成AI Sora2」など)を取り上げ、内容を紹介したうえで、問題意識や見解を共有します。その後は全員でディスカッションを行い、学問的な視点から考察を深めていきます。こうした時事的な話題をキャッチアップしておくことは、社会のトレンドを知るきっかけにもなりますし、研究テーマの発想を得るうえでも重要です。実際、電気味覚による減塩サポート食器や培養肉のクリエイティブデザインに関する研究は、私がメインあるいは共同研究者として現在進行中のテーマでもあります。
各種イベント
各種イベント(合宿や現場見学とか)もやっていきたいです。例えば現場見学については、センサリー・フード系ならではのユニークなところがいいのではと思っています。思い浮かぶところとしては、Tokyo food instituteに関連するイベント、分身ロボットカフェ、チームラボプラネッツ、イノベーティブキッチン8go、没入型アート体験とかです。また、私の共同研究者は最近「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」に行ったそうで、ここにもとても興味があります。こうした場所にみんなで一緒に行くのは面白そうだと思っています。みなさん主導での企画は大歓迎ですので「こんな場所に行ってみたい」「こんな体験をしてみたい」といったアイデアがあれば、ぜひ提案してください。
3年次
4月~5月頃:消費者心理学研究の基礎固め
消費者心理学研究を進めるための基礎的な知識と考え方を身につける
心理学研究方法論および心理データ分析(心理統計解析)の学習
実証論文の輪読を通じて、理論・方法・結果・議論の構造を理解
最初は和文論文から始め、早い段階で英文論文に移行
6月〜7月頃:英語実証研究の日本版プロジェクト
基礎で学んだ知識をもとに、英語実証論文の内容を理解・実践
グループごとに関心がある英語論文を選び、それをもとに研究実施
実際に消費者心理学実験を体験し、研究プロセス全体を実践的に学ぶ
最終的には秋の学会で研究報告
7月〜11月頃:オリジナル研究プロジェクト
これまでに学んだ研究プロセスを軸にして、仲間と共に研究を創り上げる
グループごとに関心テーマを設定し、研究立案から論文執筆までを行う
8〜9月:合宿(研究合宿)も実施予定
10月〜12月頃:研究成果発表
10月:マーケティング学会で「英語実証研究の日本版プロジェクト」成果発表
11月:三田祭で「オリジナル研究プロジェクト」成果発表、三田論執筆
12月:認知心理学会(消費者行動研究部会)のワークショップでポスター合同研究報告会
12月:消費者心理インゼミ研究報告会で「オリジナル研究プロジェクト」成果発表
*初年度なので変わってくる可能性があり、仮の予定になります。4年次は卒論です。
募集人数:10名程度を予定
評価方法:提出物および面接の総合評価
独自ES:リンク先からダウンロードして記入してください。英語スコアは入学時のTOEIC IPテストでも可です。
指定英語論文レポート:英語論文についてのレポートを提出してもらいます。
・食・感覚・消費者心理に関するレビュー論文です。細部まで理解する必要はないです。レポート内容は上記リンク内に記載していますので、ダウンロードして記入してください。
成績表:最新のもの(1年春〜2年春学期まで)
面接:三田キャンパスで対面で実施
・日時:12月6日(土)
・内容:独自ESと指摘英語論文レポートの内容を中心に質問します
・応募人数に応じて、面接前に書類選考の選抜および面接時間・形態を調整する場合があります。服装は普段着の私服で構いません。時間と教室については前々日の12月4日(木)までにメールで連絡します。
提出方法:独自ES、成績表、指定論文についてのレポートをpdf化してメールで送付
提出期限:2025年12月1日23時59分厳守(1次選考本登録日)
*内容は昨年度のもの
Q. 他の商業学フィールドのゼミと比較した特徴は? A. 本研究会の特徴は、消費者心理学、とりわけ五感や食に関するテーマを主な研究対象としている点です。流通、マーケティング戦略、マーケティング・サイエンスといった分野は、担当教員の専門ではないため扱っていません。また、新設のゼミであることや、担当教員が商業学フィールドの中で若いことも特徴の一つです。
Q. 必修授業は? A. 担当教員の「ミクロ・マーケティング各論(センサリー・マーケティング論)春学期月3」を履修してください。この講義で感覚マーケティングや食品消費/食行動について基本的な知識を身につけます。また推奨授業として、Rを使用したい学生は猪狩先生の「ミクロ・マーケティング各論(マーケティング・リサーチ)春学期水3」を履修してください。統計ソフトRの使用法、Rを用いたデータ分析について学べると聞いています。
Q. 他学部生の受け入れは? A. もちろん可能です。
Q. 留学予定者の受け入れは? A. 認めています。時期の問題については、応募前に相談していただくとより確実かなと思います。
Q. 英語で論文を書いてもいいですか? A. もちろんOKです。むしろ日本語より英語での執筆を推奨します。
Q. どのような学生ににフィットするでしょうか? A. アカデミックにやっていく予定なので、研究・学会発表・大学院進学等に関心がある方は大歓迎です。あとは、消費者心理・感覚マーケティング・食品消費/食行動に関心がある方です。
Q. 英語が苦手なのですか大丈夫でしょうか? A. 例えばこれらの論文 (Krishna et al., 2024; Spence & Van Doorn, 2022) を読んでみてご自身で判断してください。研究活動を進める上では、英語の実証論文を読むことがほぼ必須になります。主要な文献の多くが英語で書かれているためです。前職・現職の学生も皆、英語論文を読んで研究を行っていますし、最近では翻訳ツールも精度が高くなっているため、以前よりずっと取り組みやすくなっています。英語で情報を得るという姿勢は、研究に限らず、今後のあらゆる場面で役立つと思います。今のうちから少しずつ慣れておくことをおすすめします。
Q. 体育会なのですがやっていけるでしょうか? A. 体育会のスケジュールや、ご自身のタイムマネジメント次第だと思います。ゼミは「時間内に出席していればOK」という形式ではなく、ゼミ外での研究活動や準備の時間も必要になります。特にグループで進めることが多いため、他のメンバーと予定を合わせる柔軟さも求められます。こうした点を踏まえて、自分の生活リズムの中で続けられそうかどうかを判断してもらえればと思います。
Q. 数学やプログラミングができるかわかりませんが大丈夫でしょうか? A. 数学というより統計的検定のアウトプットを解釈したりというような数理的思考を必要とします。プログラミングの必要性は、用いる統計ソフトによります。担当教員はプログラミングを必要とするRという統計ソフトを使っていますが、GUIで操作可能な統計ソフト(例えばHADやSPSS)もあります。
Q. 研究会に関心があるのですが、読んでおいた方がいい書籍はありますか? A. 以下の書籍は研究会の内容と関わっています。
山田一成・池内裕美 (編) (2018)『消費者心理学』勁草書房
永野光朗・秋山学 (編) (2025) 『新・消費者理解のための心理学〔第2版〕』福村書店
アラドナ・クリシュナ(2018)『感覚マーケティング -- 顧客の五感が買い物に影響を与える』有斐閣
チャールズ・スペンス(2018)『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』角川書店
チャールズ・スペンス(2022)『センスハック:生産性をあげる究極の多感覚メソッド』 草思社
また、この動画(センサリーナッジ~感覚マーケティングで社会課題に挑む~)は感覚マーケティングやフード系の消費者心理学研究について、わかりやすく紹介されており、オススメです。共同研究者の朴先生の動画で、私との研究も出てきます。
これまでの卒業論文・修士論文タイトル
味覚拡張製品が消費者の摂⾷意向と⾷品期待に与える影響について
AI生成画像が消費者の観光地への訪問意欲に及ぼす影響
ホスピタリティ産業におけるバイオフィリックデザインが消費者評価に及ぼす影響: 単一感覚刺激と多感覚刺激の比較
健康/不健康な食品とブランド・パーソナリティの関係: ジェンダーブランド次元から
消費環境における周縁化された消費者のプロトタイプ研究
これまでの卒業論文・修士論文で英語論文化したもの
[カフェ画像色彩と味わい期待/訪問意向] Motoki, K., Takahashi, A., & Spence, C. (2021). Tasting atmospherics: Taste associations with colour parameters of coffee shop interiors. Food Quality and Preference, 94, 104315.
[香りと触覚オノマトペの関連性] Uchida, M., Pathak, A., & Motoki, K. (2021). Smelling speech sounds: Association of odors with texture‐related ideophones. Journal of Sensory Studies, 36(5), e12691.
[ラグジュアリー/カジュアルレストランにおけるAIシェフ] Nozawa, C., Togawa, T., Velasco, C., & Motoki, K. (2022). Consumer responses to the use of artificial intelligence in luxury and non-luxury restaurants. Food Quality and Preference, 96, 104436.
[音楽ジャンルと健康/不健康な食品選好] Motoki, K., Takahashi, N., Velasco, C., & Spence, C. (2022). Is classical music sweeter than jazz? Crossmodal influences of background music and taste/flavour on healthy and indulgent food preferences. Food Quality and Preference, 96, 104380.
[栄養サプリメントと色彩の関連性] Motoki, K., Yamada, A., & Spence, C. (2022). Color‐nutrient associations: Implications for product design of dietary supplements. Journal of Sensory Studies, 37(5), e12777.
[新奇食品の印象評価、特に背景音楽との関連] Motoki, K., Bunya, A., Park, J., & Velasco, C. (2024). Decoding the meaning of alternative proteins: Connotations and music-matching. Food Quality and Preference, 115, 105117.
[日本とアメリカにおいて食品レビューの感情が有用性に及ぼす影響] Ye, Y., & Motoki, K. (2024). Effects of emotions on the helpfulness of online reviews of healthy and unhealthy food in Japan and the United States. Journal of Consumer Behaviour, 23(5), 2611-2623.
[女性的なブランドパーソナリティと健康的な食品] Feng, H., & Motoki, K. (2024). “Feminine = Healthy Food” stereotype: Impact of feminine brand personality on consumer attitudes toward healthier food brands. Food Quality and Preference, 118, 105204.
[ダイエッターの健康的訴求が伴う食品選好] Wang, Q., & Motoki, K. (2025). Craving health: how dietary restraint shapes preferences for food carrying health claims. Journal of Foodservice Business Research, 1-24.