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 当研究室の目的は「自閉症の生物学的本質」を明らかにすることです。この目的達成のため、当研究室で発達障害の基礎と臨床をつなぐ橋渡し研究（Translational research）を展開しています。  「あなたは自閉症と聞いたら、何を思い浮かべますか」かつて、私がこの研究分野に参入しようとしたとき、勉強のために参加した講演会で尋ねられました。その当時の私は的外れの答えしかできませんでした。やがて研究の現場、臨床の現場で多くの当事者・関係者と交流を深め、研究を進めることで、今では自閉症の話をする側の立場になりました。しかし自閉症の生物学的本質が何かについては、未だに世界中の誰もが明確な解答を持ちえないでいます。当研究室は、この謎の解明に挑みます。  平成17年4月より発達障害者支援法が施行され、いわゆる発達障害の定義と社会法制における位置づけが我が国で初めて明文化されました。発達障害者支援法において、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義づけられています。この法案成立を背景に文部科学省の支援のもと大阪大学・浜松医科大学で開始されましたのが「子どものこころの発達研究センター連携事業」です。これは発達障害を主な対象として、派生する「子どものこころ」の諸問題を解明し、治療・支援のための研究活動を行う事業です。現在では、研究成果を教育に還元する目的で、「子どものこころ」の諸問題に対応する人材育成のための学際的教育を行う大学院として「連合大学院小児発達学研究科」も設置されています。 

私はこれらの事業に発足時より参画する幸運を得て、これまで大阪センター、浜松センターで発達障害の診療・研究・教育に取り組んでまいりました。そして平成24年11月より福井センターでこの研究室を開くご縁に恵まれ、今日に至っております。 当研究室は発達障害に関心のある方、神経科学に興味のある方のお越しを待っています。特に、学生を歓迎します。加えて野球ファンであれば言うことはありません。

福井大学 子どものこころの発達研究センター 

脳機能発達研究部門 教授・松﨑 秀夫