神戸シュタイナーハウスについて

2011年より、毎月1回、子どもの土曜クラス(2022年現在、中学生2~3年生)、および大人の勉強会を続けています。子どもも大人も、身体を動かしたり、アートや手仕事に取り組んだり(大人は本も読んだり)しながら、その時々に応じたテーマで学んでいます。

神戸シュタイナーハウスが生まれるきっかけは、シュタイナー系保育園に通う子どもが公立小学校に上がる前の、一人の親の想いでした。ハイ、私です。

子どもが5年間過ごしたシュタイナー系の保育園は、本当にステキなところで、親子ともども、心から安心して過ごすことができました。そのまま子どものペースに沿って育てていきたいけど、あっと言う間に小学校です。

公立小学校が不安?!

子どもが保育園の年長さんになった時、小学校をどうしようか、と考えました。シュタイナー的環境で育てたい思いはあるものの、シュタイナー学校は遠い。小さな子どもが、毎日何時間も電車の中で過ごすより、近所の友達とめいっぱい遊ぶ方が、よほどいいだろう。そう考えて、公立の小学校に行くことにしました。

そう決めたものの、私の中で、公立小学校に対して、いろんな不安がありました。特に大きかったのは、子どもをじっくり見てくれる人がいなくなることでした。

成績や運動能力など、目に見えるものさしで評価され、序列を付けられ続けることで、自分が(そして周りの友達が)唯一無二の大切な存在ではなく、取るに足りない人間だと思ってしまったらどうしよう!

今振り返れば、学校の先生方や別の価値観へのリスペクトもなく、自分の不安に縛られていたことがわかります。自分がまだまだ表面的にしか子どもを見る力がない、という不安です。不安という色眼鏡を通して見れば、外の景色が不安色に見えるのは当然です。

その子のままでいられる場所が欲しい

そうは言っても、当時の私にそんな事を考える余裕はありません。刻々と迫る卒園の時期。増大する小学校への不安。同じ保育園から行く友達もいないまま競争社会に入って行く子どもに、月1回だけでもいいから、人と比べられずに自分でいられる場所を作ってあげたい。

そんな場所が近くにないかな? と探してみました。だけど、探し方が悪かったのか、近くでは見つけることができませんでした。そんな場所が欲しい。でも、ついていくタイプの私がそんな場所を作れるわけがない。欲しい、できない、欲しい、できない。思いは募る。

それならせめて、出来なくても「欲しい」って言ってみよう。欲しいものの形を想い描いて、自分に出来ることを真面目にやっていたら、何かが起こるかも!? 信じるものは救われる…こともある、と誰か言って~~!

「欲しい」と言ってみる

半ば開き直り、いろんな所で関心のありそうな人たちに「子どもが子どもでいられる場所が欲しい。子どもの成長を見られる目を持つために私も学びたい」と言っていました。

すると、なんと! 当時子どもが通っていた保育園の園長夫妻が私の想いを受け止めてくださり、発起人として何人かに声を掛けてくださったのです。

発起人が集まって、何をどう作るのか相談するうちに、そこから先は、なんだか自動ドアが開くかのように、場所も決まり、役割も決まり、チラシも作り、一番の難関だった子どもクラスの先生も見つかり、不思議なほどスムーズに形が出来上がっていきました。

園長夫妻の温かさやリーダーシップはもちろん、何かもっと大きなものの後押しさえ感じました。今振り返っても、感謝以外の何物もありません。

私がしたことと言えば、「こういう場所が欲しい」と言っただけ。魔法の呪文でもあるまいに、考えてみれば不思議なものです。未来の担い手である子どもを育くむために必要だと信じた子どものクラス。そして、どうしても自分に必要だった、大人の学びの場。

それを作るために、自分に出来ることが少ししかなくて、でも、考えてみれば、そもそも自分で全部出来るわけがなくて。自分にできる「少し」を重ねながら、心から求めることで扉が開く。そんなことがホントにあるんだ! という経験をさせてもらいました。

神戸シュタイナーハウス、誕生!!

発起人をはじめ、関わってくださった方たちのさまざまな協力のおかげで、2011年、「神戸シュタイナーハウス」が誕生しました。

当時、保育園の年長さんだった子どもは高1になり、無事に(?)反抗期を迎えました。その生意気な姿を見ていると、成長しているなぁ、と頼もしくなります。

大人クラスのメンバーも少しずつ入れ替わりながら、誰かに教えてもらうだけではなく、自分たちで惜しみなく出し合って主体的に学んでいます。今も子どもクラス、大人クラス、共に試行錯誤を重ねつつ充実した活動を続けています。

「神戸シュタイナーハウス」。

私たちの小さな集まりを呼ぶには大きすぎる名前ではありますが、会の立ち上げに尽力くださった、そして名付け親である園長夫妻への感謝を胸に、これまでも、そしてこれからも、この名前を大切に活動して行こうと思います。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当

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