疼痛医療の発展は目覚ましく,その中でも特にリハビリテーションの担う役割はますます拡大しています。ペイン・リハビリテーションとは,さまざまな疼痛および疼痛関連症状・障害の改善と回復を目指す医療であり,現代の疼痛治療アルゴリズムの中で主要な治療法として位置付けられるようになりました。しかしながら,その根拠となるべく基礎・臨床研究は未だ発展途上であり,今後,さらに拡充・深化させる必要があります。
我々の研究室では,日本におけるペイン・リハビリテーション研究の拠点となるべく,
・運動による疼痛抑制の神経メカニズムの解明
・客観的評価法による疼痛の診断・評価法の開発
・慢性疼痛の集学的診療・教育システムの構築
を主な目的とし,臨床実用・応用に向け橋渡しできるよう研究に取り組んでいます。
松原研究室は,2008年に日本福祉大学(愛知県)で開設し,10年間で100名を超える学部学生たちの弛まぬ努力によって現研究室の礎となる基盤が構築されました。2018年より現在の神戸学院大学大学院総合リハビリテーション学研究科医療リハビリテーション学専攻基礎生体機能・病態解析学分野内に移設,2019年より修士課程,2021年より博士後期課程の大学院生が加わり,さらに全国各地のペイン・リハビリテーションに携わる多くの学外研究員を受け入れ,大所帯に成長しました。
ペイン・リハビリテーション領域において膨大な研究課題に取り組んでいくには,アカデミックな英知の結集が不可欠です。そのためには,国内外の研究室との連携が必須であり,複数の研究機関と共同研究も進めています。様々な垣根を取り払い,自由な研究環境を整備するとともに,臨床実践に直結する成果を創出しています。本研究室のモットーは,協調,調和,協力,連携,信頼です。チームを組んで研究プロジェクトに取り組んでいますので,研究が初めての方でも大歓迎です。ペイン・リハビリテーションに興味をもち,疼痛医療に貢献すべく研究を行ってみたい方はぜひご連絡ください。
神戸学院大学大学院
総合リハビリテーション学研究科
医療リハビリテーション学専攻
基礎生体機能・病態解析学分野
教授 松原 貴子