服部らの研究チームは,肩の代表的な疼痛疾患である肩峰下疼痛症候群(SAPS)に疼痛感作が関与するかを検討しました。従来のMRI評価に加えて,圧痛閾値(PPT),時間的加重(TSP),条件刺激性疼痛調節(CPM)などの定量的感覚検査を実施した結果,疼痛と機能障害(SPADI)は,腱板の変性を調整後でもTSPと有意に関連することを示しました。
本研究成果は,SAPSの疼痛を評価・治療するうえで,これまで重視されてきた構造的異常だけでなく,疼痛の情報処理機構にも着目する必要性を示しており,今後の追加研究において,患者ごとの病態に応じた,より個別化された疼痛治療戦略の開発につながることが期待されます。
山口らの研究チームは、70歳以上の高齢者を対象に、運動による疼痛緩和効果(EIH)とその関連要因を検討しました。運動後に圧痛閾値(PPT)は有意に上昇したものの、その変化は臨床的意義ある変化には達せず、EIH効果は条件刺激性疼痛調節(CPM)および骨格筋指数(SMI)と有意に関連していました。
本研究成果は、高齢者ではEIH効果が限定的であり、その背景には内因性疼痛抑制機能の低下や骨格筋量の低下が関与する可能性を示しています。今後は、疼痛調節機能やサルコペニアを考慮し、身体活動の促進や栄養療法などを含めた多面的な疼痛治療戦略の開発につながることが期待されます 。