遠山は八戸藩の武士であり、欠落はあるものの、寛政四年(1792)から大正八年(1919)まで、日記を書き続けてきた。
これは全国的に見ても類がないといわれ、江戸時代の武士個人の生活記録としての意義のみならず、八戸藩の政治の動きや、江戸時代の経済、社会の動きを知る上で、貴重な史料であるという理由で、青森県の県重宝(歴史資料)に指定された。原本は八戸市立図書館の「遠山家旧蔵本」に所蔵されている。
そして同館は、『八戸藩 遠山家日記』という書名で日記の刊行を続け、2022年秋に第11巻をもって完結した。私は、第1巻から第11巻までの校正をずっと担当してきただけに、感慨深いものがある。
遠山家日記はほぼ全文が草書体の漢字で書かれている。といっても、中国式の漢文ではなく、日本式の漢文だといえよう。多くの人に協力していただいて、草書体を楷書体に直したものを、改めて原文と照合して校訂し、印刷では校正をして刊本にしたのが、私の仕事であった。
せっかく貴重な史料を刊行したのだから、多くの方に読んでいただきたい。しかし、全13巻の全文に、読点や送り仮名、助詞を入れるのは大変な仕事になる。
第1巻だけでもそうすれば読みやすくなり、その勢いでもって、第2巻以降を読んでいただけるかもしれない。ただし、第1巻の本文は約570ページなので、送り仮名や助詞を入れると、確実に10パーセントぐらいページ数が増えそうで、そうなると二冊になり、印刷費用がかさむ。私にはできる仕事ではない。
そういうわけで、私は全13巻の要約を作る事にした。しかも一冊にしたい。それぐらいならば、私個人の仕事にできるようだ。
遠山家の初代から六代までの日記はないから、主に八戸藩の藩庁日記の「目付所日記」や「勤功帖」(いずれも八戸市立図書館所蔵)から、遠山の事跡を抜粋した。七代目(寛政四年)以降は遠山家日記を主な出典として、それに藩庁日記の記事を追加する形になった。八戸の歴史の中での遠山家をみたいからである。
「はじめに」より
本体価格 1,650円(税込)
A5判 158頁 2023年9月刊
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八戸藩の武士であり、寛政から大正まで日記を書き続けてきた遠山家。「八戸藩 遠山家日記」(全13巻)の校正に携わった著者による要約。
『八戸藩 遠山家の人々』目次
序章 八戸藩について
第一章 六代目まで
第二章 七代目庄右衛門
第三章 八代目庄太夫
第四章 九代目庄七
第五章 一〇代目景三