付記

フェロモンをかがせればまるでロボットのように決められた行動が引き起こされる”

フェロモンについて、このようなイメージを持っていませんか?

確かにフェロモンは特定の定型行動を引き起こします。しかし、たかだかちっぽけな蟲だとしても、フェロモンを嗅がせれば、いつも同じように反応するわけではありません。その時々、コンディションや情況に応じて、反応は異なっています。

そういった実態が明らかになるにつれて、

フェロモンによる情報伝達についても詳細に検証しようとする動きが出てきました。

入力された情報が脳内でどのように処理されているのか

情報に対して学習が成立するのか

複数の拮抗する同質あるいは異質の情報が入力されたとき、生物はどのような行動をとるのか

情報化学物質の持つ意味合いは、状況や経験に応じてどのように変化するのか

情報化学物質は、長期的に生理状態にどのような影響をもたらすのか

情報化学物質利用の進化はどのようにしておこってきたのか

など、さまざまな分野にまたがって行われている研究が、それをあらわしています。

これらの問題に対して、行動学・生態学をはじめ生理学・電気生理学・脳科学・遺伝学・系統発生学など、さまざまな分野の叡智を結集することで、その解明を目指すしています。