受験生の皆さんへ

 みなさんは、生物学を学べる大学に進学できたならば、“何を学びたい”・“自分で研究してみたい”と思っているでしょうか
まだそこまで詳しく考えていないという人も少なくないでしょう


生物学は非常に幅広い学問分野です 
皆さん自身にとっても、身近に深く関わり合うことが多い事象をたくさん含んでいます

それは、便宜的に「マクロな生物学」と「ミクロな生物学」とに大別することができます


生き物って不思議だけれど複雑だからわかりにくい・・だから、基本的な部分に細分して共通原理をさがしてやろう

それがミクロな生物学のアプローチ法です
個々に明らかにした共通原理を積み重ねていって、基の全体像に迫ろうというスタンスです


生き物はそれぞれに違っているのが普通・・だから、複雑になるけどまずはそれぞれを特殊事例として解明しよう

それがマクロな生物学のアプローチ法です
特殊事例として解明した事象の中から共通原理を探り出すことで、基の全体像に迫ろうというスタンスです

私たちの研究室では、ミクロな生物学マクロな生物学のアプローチの両方にとりくんでいます。

マクロからのアプローチ

担当教員  秋野順治             (追記


 すべての生き物は、自分以外の生物個体と何かしらの関係を持っています。食うか食われるかー被食・捕食の関係であったり、愛し愛される異性の関係であったり、互いに助け合う家族の関係であったりと、その関係性は様々です。しかし、その関係性の種類によらず、生物は相手が発する何らかの情報を察知することで、その相手の存在を認識し、必要に応じて互いに“コミュニケーション”をはかっているのです。

 「化学生態学」という分野は、そうした“コミュニケーション”を、化学物質情報媒体として用いられている事例を主対象に取り上げ、そのコミュニケーションの機能を解明しようとするものです。雌が雄を呼ぶ“性フェロモン”、植物が受粉を手伝う花粉媒介昆虫(ポリネーター)を呼び寄せる“花香”など、身近で繰り広げられる生き物の情報戦を一緒に解明してみませんか?。


ミクロからのアプローチ

                 担当教員  長岡純治

 

 「養蚕学」は,聞くと古めかしいものを感じるかもしれませんが,蚕を中心とした昆虫(生き物)の生理,遺伝,病理,発生,生物化学,分子生物学,桑を中心とした植物の生理学,生態学,そして,農業生産学,経営学,経済学と広範な学問の融合によって成り立つ日本独自のユニークな学問領域です(私たちは,ヒトを対象にした医学部教育と同じように,蚕を対象にしたものが養蚕学教育だと考えています)。

 私たちと一緒に,「故きを温ね新しきを知る」:世界に誇れる従来の絹糸生産を目指した「養蚕学」知識を積極的に理解・掘り起こしながら,これを土台に,農業害虫としてのチョウ目昆虫のモデルや一般生物学のモデルとしてカイコガを見直し,鍛え直して,新しい生物学,農学,生物工学の開拓に挑戦して見ませんか?

               

 私たちの研究室は,都のど真ん中に,広大な圃場を有するなかにありますから,自然生態系や農生態系での生物間相互作用の解明と応用を目指しています。ミクロとマクロのアプローチを介して、生き物どうしが組み上げる巧みな自然の仕組みを理解しようというものです。生物の多様性や行動生態、そしてそれを支える化学的機構に興味をもっている皆さん、一緒にそれらの謎を解き明かしましょう。

資源昆虫学研究室 秋野・長岡