5年ぶりに2回目の収蔵品展「高麗博物館収蔵品でたどる日本コリア交流の歴史」を開催いたします。
高麗博物館には200点近い資料があります。収蔵品の分類と整理をしたところ、日本の古墳から出土する遺物と似ている伽耶土器をはじめ高麗青磁や朝鮮白磁など、朝鮮の各時代を代表するやきものを収蔵していることがわかりました。今回の展示では、そこから特徴的なものを選んでみました。ほかに獄中の安重根が周囲の日本人たちの求めに応じて揮毫した遺墨(レプリカ)を展示しています。朝鮮をめぐって清国と日本が戦った日清戦争の折りに国威発揚に利用されるようになった錦絵も展示しています。
高麗博物館の収蔵品はほとんどが寄贈されたものです。今回の展示にあたり寄贈してくださった方々に改めてお礼を申し上げます。
高麗博物館学芸部「収蔵品の研究と展示」部会
高麗博物館は、高麗青磁から朝鮮白磁、現代作家まで約20点の陶磁器を所蔵しています。古墳時代に朝鮮半島の南部にあった伽耶は、日本列島の人々と密接な交流があり、日本列島の人々は伽耶から鉄と騎馬文化を移入しました。また日本の須恵器の起源は伽耶であるともいわれています。今回、高麗博物館が所蔵する伽耶土器を一堂に展示します。日本の博物館や郷土資料館の須恵器や古代の展示と見比べてみてください。
3月11日(土)には先史時代から近代までの韓国のやきものを網羅した『韓国のやきもの』(姜敬淑著)の訳者で、高麗博物館元理事長の山田貞夫さんのお話があります。→詳細はこちら
高麗博物館には大韓帝国の独立運動家、安重根の遺墨(レプリカ)が10点あります。安重根は、日本帝国の初代韓国統監伊藤博文を殺害し、旅順刑務所で殉国するまでの40日余の間に約百点の書を書き、現存する遺墨のうち26点は韓国の国宝に指定されています。彼はどのような経緯で、誰のために書を書いたのでしょうか?
2月25日(土)には担当学芸員によるギャラリートークも行われます。→詳細はこちら
多色摺りの浮世絵を錦絵と言います。浮世絵は墨一色の木版画としてその歴史を始めましたが時代とともに技術は向上し、多くの版を使った多色摺りのカラー版画として発展しました。錦織の美しさを思い起すことから「錦絵」の名称で、安価になったことから庶民の間でも親しまれていきました。ガイドブックのような「旅行名所」やプロマイドのような「美人画」などが多く刷られているので、その時の流行や時代を映す重要な資料として貴重なものです。それは近代に入り戦争の時代にも役立ちました。日清戦争や日露戦争では多くの「戦争絵」が描かれ、国威発揚の役目も担いました。高麗博物館には「日清戦争実況」などの錦絵が5点あります。