6月10日(土)

13:30-15:00 企画ワークショップ1【西館2階 講義室E】

中⾼⽣におすすめのスピーキング&ライティング活動

【講師】
上山 晋平 先生(広島県福山市立福山中・高等学校)

【概要】

英語のスピーキング・ライティングは、中⾼⽣にとってハードルが⾼いもののひとつですが、実践的な活動を通じて楽しく取り組めば、⾃然な形で英語⼒が向上することが期待できます。そこで、本発表では、中⾼⽣におすすめのス ピーキング・ライティング活動について、具体的なアイデアをお届けします。スピーキング指導とライティング指導の2部制から成る本発表では、スピーキングの部ではリテリングからプレゼンテーションへと活動を展開する⽅法、ライティングの部では汎⽤的に活⽤できる有益な活動を紹介します。実践的で効果の⾼いスピーキング・ライティング活動アイデアを多数ご紹介いたしますので、ぜひご参加ください。 


【講師略歴】

1978年広島県福⼭市⽣まれ。広島県⽴福⼭誠之館⾼等学校卒業後、⼭⼝⼤学教育学部⼊学。2000年からオーストラ リア・キャンベラ⼤学に交換留学。その後、庄原市⽴東城中学校、中⾼⼀貫校の福⼭市⽴福⼭中学校に勤務。2009年 から同校の⾼校教諭となり、中学・⾼校の英語授業を担当。英語教育・達⼈セミナーや研究会、校内研修、学会、 ALT研修会等で発表を⾏う。著書に、『英語リテリング&ショート・プレゼンテーション指導ガイドブック』『4達⼈が語る!⾄極の英語授業づくり&活動アイデア』、『改訂版⾼校教師のための学級経営365⽇のパーフェクトガイド』、『英語4技能統合型の指導&評価ガイドブック』、『英語教師のためのアクティブ・ラーニングガイドブック』、『英語家庭学習指導ガイドブック』、『英語テストづくり&指導完全ガイドブック』(以上、明治図書)、 『Think & Quest キミが学びを深める英語1・2』(共著、ラーンズ)、『はじめてでもすぐ実践できる! 中学・⾼校 英 語スピーキング指導』、『ニガテな⽣徒もどんどん書き出す!中学・⾼校英語ライティング指導』(以上、学陽書 房)、DVDに『意欲アップ!習慣定着!「楽しくて⼒のつく家庭学習法」』(ジャパンライム)、『ライブ!英語教育・達 ⼈セミナー in 広島・福⼭〜Activeな授業づくりをめざした実践例〜』(ジャパンライム)がある。⽉刊『英語教育』(⼤修館)で2015〜2017年に連載担当。中学校検定教科書『Here We Go!』(光村図書)編集委員。⼤修館『オンライン探究教材アクチュアル』編集委員。⽂科省「持続可能な開発のための教育(ESD)の⼿引(令和3年5⽉改訂)」有識者。ESDやSDGsを取り⼊れ、校外機関と連携を⾏い、タイのバンコクで開かれたユネスコの国際会議でプレゼンを⾏うなど、新しい教育、学校づくりに励んでいる。 

13:30-15:00 企画ワークショップ2【西館2階 講義室F】

英語教師、指導教諭、教師教育者のためのナラティブ探究 

【講師】
中田 賀之 先生(同志社大学)
宮崎 貴弘 先生(神戸市立葺合高等学校)
俣野 知里 先生(京都市立二条城北小学校)

【概要】

英語教師は、キャリアの中で、多様な生徒に出会い、多くの困難や挫折に直面しますが、達成感を味わうこともあります。我々は、他者の経験を尋ねたり、life storyを聞いたり、自身の経験を語ったりすることで、「人が経験をどのように意味づけるか」を知ることができます。しかし、多忙を極める中、教師としての自らのlife storyや経験を言葉にする機会や、他者のstoryや経験を聞く機会に恵まれているとは言えません。Narrative Inquiry(NI)は、皆さんの経験を言葉にすることを手助けし、それを聴衆と共有する機会を提供してくれます。


本ワークショップでは、NIが質的研究の中でもどのような位置付けで、Clandininの考えるnarrativeはどのようなものかを整理した上で、教師・指導教諭・教師教育者の聴衆の皆さんと一緒に、現職教員のNIの事例から学びつつ、自らの教育文脈やlife storyや経験について振り返り、共に学ぶ機会を持ちたいと思います。


【講師略歴】

中田 賀之 先生

同志社大学グローバル・コミュニケーション学部 教授 (Ph.D., Trinity College Dublin)。兵庫教育大学大学院・連合大学院准教授を経て、2015年4月より現職。主に、外国語学習(特に学校文脈)における動機付け、自己調整学習、学習者・教師オートノミー等をテーマとした質的な事例研究に従事する一方、現職教員とともに教室内英語評価尺度の開発に取り組んでいる。多数の国際誌の査読委員、編集委員長(Jacet Kansai Journal)、全国誌の編集委員、Advisory board (The Journal of EuroSLA) を務める傍ら、検定教科書Landmarkの執筆にも携わっている。現場の先生方と取り組んだ図書に『自分で学んでいける生徒を育てる—学習者オートノミーへの挑戦』(ひつじ書房)がある。EUROSLA Yearbook Prize受賞。


宮崎 貴弘 先生

神戸市立葺合高等学校教諭。神戸市内の中学校2校を経て、2013年4月より現職。2020年3月に兵庫教育大学大学院(修士課程)修了。生徒同士のインタラクションについて研究。主な著書に『4達人が語る!至極の英語授業づくり&活動アイデア』(共著、明治図書、2022)他。中学校検定教科書『Blue Sky』(啓林館)、 高等学校検定教科書『CROWN Logic and Expression』(三省堂)編集著者。


俣野 知里 先生

京都教育大学修士、関西学院大学博士課程単位取得満期退学。京都市立小学校、京都教育大学附属桃山小学校での勤務を経て、2022年度より京都市立二条城北小学校に勤務。2023年度は、第6学年の学級担任として学年の外国語を担当している。小学校外国語教育に関する実践研究や専科教員を中心とした教員研修について関心をもっている。

15:10-16:40 講演1【西館2階 講義室E・F】

どうする英語教師 ― AIが進化する時代において

【講師】
酒井 志延 先生(千葉商科大学)

【概要】

AIの進化に合わせて、外国語教育(以降、英語教育)の不要論が次第に広まりつつある。一般的に、研究者は、過去や現在のエビデンスをもって研究することに慣れているので、エビデンスがほぼない未来予想はあまり得意ではない。しかし、機械翻訳やChatGPTの進化を見ると、英語教育は今までのままでは生き残るのが難しい。当然、英語教育者はリスキリング(環境の大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること)を迫られるであろう。したがって、英語教育に従事している者たちは、すべからくどのようにリスキリングをすることが可能なのか考え、意見を出し合うべきであろう。本講演では、人間には行うことができるが、AIにはできない「考えること」の教育に焦点を当てて、英語教師のリスキリングの提案を行う。


【講師略歴】
1976年 東京教育大学文学部卒

1980年 埼玉県県立高校教諭(1996年まで)

1990年 現職教員派遣制度で上越教育大学修了

1996年 桜の聖母短期大学英語学科助教授(2001年3月まで)

2001年 千葉商科大学商経学部助教授

2003年 千葉商科大学商経学部教授(2022年3月まで)

2003年 独立行政法人メディア教育開発センター客員助教授

2004年 独立行政法人メディア教育開発センター客員教授(2007年3月まで)

2015年 ウィーン大学への在外研究員

2022年 千葉商科大学名誉教授

2022年 神奈川歯科大学特任講師


『社会人のための英語百科』(共著)大修館書店、『英語教師「授業力」強化マニュアル』(共著)大修館書店、『英語教師の成長』(共著)大修館書店、『新しい時代の英語科教育法---基礎と実践』(共著)三修社、『国際社会から考える小学校英語教育の展望』(共著)明石書店、『映画で学ぶ英語の世界』(共著)くろしお出版、『先生のための小学校英語の知恵袋 ―現場の『?』に困らないために映』(共著)くろしお出版、『ワクワクする小学校英語授業の作り方』(共著)大修館書店、『「言いたい」が「言えた!」に変わる小学校英語授業: 語彙力・表現力がぐんぐんのびる!』(共著)大修館書店、その他教科書、参考書多数。



6月11日(日)

10:00-11:20 企画ワークショップ3【西館2 講義室D】

スローラーナーを支援するための英語指導法の提案 

【講師】
安木 真一 先生(京都外国語大学)

【概要】
英語の学習が嫌いな小学生が増加し、中高大それぞれの段階で、英語学習につまずく生徒・学生は多数存在している。本ワークショップではスローラーナーを「学校において、英語学習でつまずいている学習者」と定義し、高校進学校を含む様々な学力レベルの集団の多くにスローラーナーが存在するという前提で話を進める。まずスローラーナーが生まれる背景、つまずきを克服するポイントについて述べた後、いくつかのつまずきに焦点をあて、つまずきを克服するための指導法をワークショップ形式で提示する。現場での実践例も紹介したい。フロアの皆様のご意見をいただきながら共にスローラーナーへの指導法を考える機会としたい。

【講師略歴】
鳥取県出身 京都外国語大学・京都外国語短期大学 教授 

大阪・東京の東海大学付属の高等学校,同中等部、鳥取県の公立高校2校、岡山県の高専を経て現在に至る。短期大学にて英語の授業を、大学と大学院にて学生や現職の教員を対象に英語教育関連科目を担当。また各地でセミナー講師や教育委員会の授業改善事業等の助言者を務めている。

研究分野は英語教育実践学で、特に音読指導とスローラーナーへの指導を中心に研究。近年は科学研究費を得て 『音読・要約を核にしたシステム英語指導法の提案―「名人教師」の分析をもとにして―』 『スローラーナーへの指導法と教材開発に関する研究』を高校の先生方の協力を得て行った。

主な著書は「英語力がぐんぐん身につく!驚異の音読指導法54」「英語力がぐんぐん身につく!驚異の英単語指導法50」「スピーキング力に差がつく!英語アクティブ音読超指導法(いずれも明治図書 / 単著)」、「音読指導ハンドブック」(大修館書店 / 分筆担当)、「文部科学省検定教科書Vivid English Expression・ⅠⅡ」(第一学習社 )、「同SUNSHINE ENGLISH COURSE・123(開隆堂)」その他著書・論文・雑誌記事多数。

ジャパンライム社より『安木真一先生の授業(1)(2)~達人に見る授業の組み立てとアイデア集』『続・安木真一先生の授業(1)(2)~達人たちのその後』『英語教育遺産 鳥取プロジェクト』 『英語力がメキメキUP!48の音読・シャドーイング』『高校英語・スローラーナー支援のための実践的指導法と教材開発』『教科書を徹底活用した指導&ラウンド制を活用した授業実践(監修)』 他英語指導に関するDVDを多数出版。音読アプリQulmee(EAST EDUCATION)監修・技術協力。

10:00-11:20 企画ワークショップ4【西館2階 講義室E】 

「主体的・対話的で深い学び」をめざす課題解決型活動とその評価方法

【講師】
溝畑 保之 先生(桃山学院教育大学非常勤講師)

【概要】
「主体的・対話的で深い学び」には、課題解決型活動が求められる。中高の英語授業では、体験、振り返り、新たな目標設定の体験学習のサイクルを取り入れたい。その際、「発達型」ルーブリックをいかに活用するかが重要である。相互・自己評価の方法、フィードバックの質の高め方を示し、評価のための評価でなく、活動を改善に導く評価のあり方を議論し、より効果的な授業展開の一助としたい。課題解決型活動として、①ワードカウンター:即興で時間内にできるだけ発話、②即興型ディベート:論理的枠組みで意見のやり取り、③スピーチ:ピア・リスポンスを通じて原稿作成、④スパイダー討論:参加者の平等な意見表明の土壌作り、を取り上げる。

【講師略歴】
桃山学院教育大学、京都外国語大学、大阪公立大学非常勤講師。大阪府立高校で4技能型の実践を行い、指導教諭。私立中高を経て現職。「英検」研究助成(第8回 、第17回)入選。2011年度大阪府優秀教職員等表彰。『英語指導ハンドブック』ー5シリーズ(大修館書店)分担執筆。論文発表、口頭発表多数。


14:40-16:20 講演2【西館1階 ホール】

第二言語習得を支える認知・社会認知システムと英語の学習指導

【講師】
門田 修平 先生(関西学院大学)

【概要】
私たち人の記憶・学習プロセスを支える認知システム(認知脳ネットワーク)と対比しつつ、他者とのインタラクションの基盤となる社会認知システム(社会脳ネットワーク)仕組みについて検討し、人の能力指標として現在一般に使われている「知能指数:IQ」に対する「社会指数:SQ」「情動指数:EQ」がどのような能力であるか、解説します。その上で、この社会脳インタラクションを活用しつつ、「社会脳インタラクション能力(social brain interactional competence: SBIC)」の育成を促進する英語の学習・指導法について、いくつか例を挙げつつ考察していきたいと思います。

【講師略歴】
関⻄学院⼤学・⼤学院教授 Tryon社フェロー(顧問) 博士(応用言語学)
専⾨は⼼理⾔語学、応⽤⾔語学。神戸市外国語大学卒・同大学院修了。関西学院大学法学部・同大学院言語コミュニケーション文化研究科教授。著書に、『SLA研究⼊⾨』(くろしお出版)、『英語上達12のポイント』(コスモピア)、Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition(Routledge)、『外国語を話せるようになるしくみ』『音読で外国語が話せるようになる科学』(SBサイエンス・アイ新書)など多数。