佐賀大学教育学部
英語文学ゼミ/吉村 圭
佐賀大学教育学部
英語文学ゼミ/吉村 圭
ジャック・ブラックの悪ふざけが光る「迷作」―『僕らのミライへ逆回転』(2008)
『スクール・オブ・ロック』(School of Rock, 2003)以来、ジャック・ブラック(以下JB)の型破りな演技に魅了され、彼が出ている作品はついつい手に取ってしまう。彼の出ている映画は「いいJB作品」と「悪いJB作品」に分類できて、例えば『ホリデイ』(The Holiday, 2006)のようにJBのハチャメチャな演技が上品なスパイスとなっている例もあれば、『ナチョ・リブレ』(Nacho Libre, 2006)のようにただの悪ふざけに終始している例もある(それも好きだけど)。
『僕らのミライへ逆回転』(Be Kind Rewind, 2008)はまさに後者に当たる。発電所襲撃を企てた結果感電し、強力な磁気を帯びた身体となったジェリー(JB)。その状態で友人マイクの働くレンタルビデオ店に行ったため、店のすべてのビデオが、彼の磁気によってダメになってしまう。困ったふたりは、苦し紛れに『ゴーストバスターズ』や『ラッシュアワー』といったハリウッド映画を自分たちで撮影し、レンタルを開始するのだが、次第にその自主製作版が評判になってゆく…。
発電所での感電シーン、自主製作映画の撮影風景等々、終始「JBの悪い癖が出てるぞ」という仕上がり。ただし、この映画の興味深いのは、そんな悪ふざけのままたどり着いたラストシーンで、測らずしも感動させられてしまう点にある。ネタバレ防止のために詳しくは書かないが、恐らくこの映画のラストに『ニューシネマ・パラダイス』が重なって見える人も多いはずだ。ぜひみなさんの感想が聞きたいので、ここに紹介する。
なお、この作品の原題”Be Kind Rewind”とは、VHSビデオが主流だった時代に海外のレンタルビデオショップで使われた決まり文句で、「巻き戻してご返却ください」くらいの意味。”Rewind”は「巻き戻す」だが、もしかすると今の時代は「巻き戻す」という日本語に説明が必要だろうか?ビデオなどのカセットでは、作品を見終わったら最初の位置までリールを巻いて戻しておかないと、次の人がすぐに最初から見ることができなかったのだ。そしてその巻き戻しの作業が結構時間を取る作業なので、レンタルショップ側としては、客に巻き戻しまでしておいてもらえると助かる→”Be Kind Rewind”(ご親切に、巻き戻しをお願いします)ということになる。DVDどころか、オンラインでの映像視聴が主流となった今では、何を「巻く」のかさっぱり意味が失われてしまっていることだろう。
2024年2月
ATEM九州支部ニューズレター第20号寄稿記事を一部修正