Reseach / 研究紹介
発表論文の紹介
発表論文の紹介
The deamination activity of A3G-CTD was first increased, but then decreased, which indicated that A3G undergoes the intersegmental transfer (Graphical abstract)
1本鎖DNAに変異を導入するタンパク質A3GのC端ドメインが、あるDNA上から別のDNAに移動(ストランド間移動)するのを示唆する内容です。
ストランド間移動は、一般的には複数のDNA結合界面をもつ、複数ドメインからなるタンパク質に特有と言われる現象でした。本論文では、基質DNAとA3GC端ドメイン混合溶液にA3Gが反応を示さないDNA(競合DNA)を加えたところ、A3Gの基質DNA編集速度が競合DNAの濃度の上昇に伴い、極大値を示すという結果を得ました。通常(ストランド間移動が存在しない場合)競合DNAを酵素基質混合溶液に加えると、基質DNA編集速度が上昇することは起こり得ないため、驚くべき結果です。さらにA3GC端ドメインは1つの構造ドメインから成るということで、従来の知見を覆し得る発見です(タンパク質としては2例目、一分鎖DNAを用いるものとしては初)。
A3GC端ドメイン-DNA間の結合が弱いため、実際に複合体観測するのが難しく、実際に見てないだろうと言われればそうなのですが、大変不思議な実験結果として公開するだけでも意味があるであろうということで論文化しました。僕の数学のレベルが足りず、速度論モデルが完成半ばで実験結果を解析的に評価できなかったのが心残りです。解析的な説明、今後の課題とします。